【児童書】『また おこられてん』小西貴士作、石川えりこ絵
[レビュアー] 産経新聞社
■子供心が分かっている
男の子とお母さんの関係ってちょっと特別。恋人のようで、すごく密なのだ。だからお母さんの態度にも敏感に反応してしまう。
ここに登場する「ぼく」は毎日、いろいろなことでお母さんに怒られる。散らかしたり、いつまでも遊んでいたり、嘘をついたり。つい、お風呂でお父さんにグチる。
「かあちゃん、ぼくのこと きらいになってしもうたんかなあ」
それを聞いたお父さんが「ぼく」に語り始めて…。担当編集者によると、ここで「笑う人と涙ぐむ人と2通りいるんですよ」だそう。いや、絶対、後者でしょう。
子供を温かく見つめた写真で知られる小西さん。さすが、子供心が分かっている。日々、子供を怒ってしまい、「やっちゃった」と反省しているお母さんにお届けしたい。
創刊された新シリーズ「童心社のおはなしえほん」の一冊。同時刊行の『きつねみちは、天のみち』『つきよの3びき』も、それぞれ味わいが違って、いい。(童心社・1300円+税)