個性的な天才たちが鎬を削る 恩田陸の音楽小説が堂々の1位に!【文芸書・ベストセラー】

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 10月16日~10月22日のAmazonの文芸書売り上げランキングが発表され、第1位は恩田陸の青春群像小説『蜜蜂と遠雷』が獲得した。

 第2位は第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの『コンビニ人間』。第3位は学習塾を舞台にした感動巨編『みかづき』となった。今週は1位から3位までを女性作家が占める結果となった。

 3位の『みかづき』は昭和から平成の塾業界を舞台に、3世代にわたって奮闘を続ける家族の感動の物語。同作は女優で書評家の中江有里さんが「月の光に浮かび上がる理想と現実。真の教育を巡る人間模様に魅せられた」と絶賛。また9月10日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーで俳優の谷原章介さんが「ページをめくる手が止められなかった。教育がこんなドラマティックなストーリーになるんだ」と感動を表していた。

1位『蜜蜂と遠雷』恩田陸[著](幻冬舎)

俺はまだ、神に愛されているだろうか? ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!(幻冬舎ウェブサイトより)幻冬舎の月刊PR誌「PONTOON」にて連載された音楽小説。数多の個性的な天才たちが鎬を削るピアノコンクールがドラマチックに描かれる。

 Book Bangでは書評家の杉江松恋氏による書評が掲載されている。

ピアノコンクールで鎬を削る天才たち…恩田陸が描く音楽小説
 才能と情熱の小説である。

 恩田陸『蜜蜂と遠雷』は、国際ピアノコンクールを主舞台として描かれる音楽小説であり、演奏行為を通じて、さまざまなことが綴られていく。ある表現を用いるときにはどのような気持ちが託されるか、技術を錬磨していく中では必然的に自身と対話しなければならなくなるが、限界まで来てしまったときにはどんな声が聞こえてくるのか、などなど。…
https://www.bookbang.jp/review/article/519375

2位『コンビニ人間』村田沙耶香[著](文藝春秋)

 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて……。現代の実存を軽やかに問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。第155回芥川賞受賞。(文藝春秋ウェブサイトより抜粋)

 Book Bangでは写真家の長島有里枝さんと、文芸ジャーナリスト佐久間文子さん、書店員さんによる書評が掲載されている。

長島有里枝さん(写真家)レビュー

異質な自分をめぐって

社会生活のあらゆる場で、自分が「異質」だと思い知らされているのに、自分のなにが「悪い」のかはいつまでたってもわからない。芥川賞に決まったこの作品の主人公を通して、見えてくるのは自分にも馴染(なじ)み深い、そんな世界だ。…
https://www.bookbang.jp/review/article/516453

佐久間文子さん(文芸ジャーナリスト)レビュー

ひっそり異議を唱える芥川賞受賞作『コンビニ人間』

「コンビニ人間」と聞いて、あなたはどういう人間を想像するだろう。他人に都合よくつかわれる人? いつもコンビニにいる人? それともコンビニのご飯ばかり食べている人だろうか。
 本書の主人公、三十六歳独身の恵子はそのいずれにも当てはまる、べテランコンビニ店員である。一つの店舗に十八年という勤続期間の長さは「コンビニのバイト」というどこの街にもいる透明な存在に特別な重みを与え、バイト仲間や学生時代の友人からの「なぜ?」という質問を誘発してしまう。…
https://www.bookbang.jp/review/article/517103

渕書店さんレビュー

「人生それぞれ。何が悪い?ゴーゴー!!」

主人公の周囲に対する冷めた温度感は読者を妙に安定させる。清々しくて心地いい。社会学的見地から読めばまた別の読みかたも生まれるのであろうがそんな読み方はしなかった。彼女の生きざまを「障害」とみる見方もあるし、彼女の周囲はそう考えるわけだが――。…
https://www.bookbang.jp/review/article/517515

3位『みかづき』森絵都[著](集英社)

「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」昭和36年。人生を教えることに捧げた、塾教師たちの物語が始まる。胸を打つ確かな感動。著者5年ぶり、渾身の大長編。(集英社ウェブサイトより)

 4位以下は次の通り。

4位『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』原田まりる[著](ダイヤモンド社)

5位『あのとき、僕らの歌声は。』AAA[著](幻冬舎)

6位『虚実妖怪百物語 序 (怪BOOKS)』京極夏彦[著](KADOKAWA)

7位『罪の声』塩田武士[著](講談社)

8位『十二人の死にたい子どもたち』冲方丁[著](文藝春秋)

9位『何様』朝井リョウ[著](新潮社)

10位『カエルの楽園』百田尚樹[著](新潮社)

Amazon文芸書売り上げランキングより 集計期間10月16日~10月22日〉

Book Bang編集部
2016年10月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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