「路線バス乗り継ぎの旅」に出演の小説家・羽田圭介 ゾンビのように業界に噛みつく!

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 11月19日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーに小説家の羽田圭介さん(31)が出演した。羽田さんがゾンビのいる世界をリアルに描いた小説が取り上げられた。

■「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」にも出演

『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)で第153回芥川賞を受賞した羽田さん。同時に受賞したお笑い芸人のピースの又吉直樹さんの「じゃない方」として注目を集めた。その後作家らしからぬぶっちゃけトークが人気となり、テレビのバラエティー番組でもひっぱりだこ。26日にはテレビ東京の人気番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」にも出演が決まっている。

■ゾンビが出たら「あれ、ゾンビじゃね?」

 そんな羽田さんが芥川賞受賞後初となる作品『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』を発表した。もしも現代社会に突如ゾンビが出現したら、人々はどうするのかをリアルに描いた作品。羽田さんは「日本人的にどう振る舞うか」にこだわり、ゾンビという非現実的な存在を扱いながらもリアリズムを持った作品になっている。

 物語は渋谷の街で編集者の男がゾンビを発見するところからはじまる。とはいえ映画のようにパニックを起こす人がいるわけでもなく、人々は「あれ、ゾンビじゃね?」「顔青すぎ! ウケるんだけど」と恐れるよりも小馬鹿にしたような態度をとっている。人に襲いかかったところで誰も慌てる様子はない。人々の冷めた態度の一方、事態は深刻化。全国各地にゾンビ被害は広まって行く。羽田さんは番組で日本にゾンビがあらわれたら「怖いと言うよりも笑える出来事にしてしまいたい。笑うことで恐怖をないことにしてしまいたい」と日本人の気質を分析し、そのリアルな対応を予想していた。

 そして羽田さんは物語のなかの「あんた、生きているのか死んでいるのか、わからないよ」という一文に込めた思いを語った。それは生物として人間なのかゾンビなのかわからないということと、人は社会的に生かされているだけかもしれない、そのどちらの意味ともとれる言葉だ。羽田さんは自分の小説が売れたのも、裏でバックアップをしてくれた会社に生かされているだけで、本当は読者には見向きもされていないのではないか、と考える事があると本書のテーマの生まれた背景を語った。

■羽田ゾンビが噛みつきまくる

 番組MCの谷原章介さん(44)は「今の日本の社会の縮図といいますか、息苦しさみたいなものがとっても表されている。羽田さんは普段生きてて、今の日本社会に対する疑問だったり、いら立ちだったりとか、そういったアイロニーも含めてアンチテーゼとして投げかけられているような気がする」と推薦した。

 また番組解説者で早稲田大学文学学術院准教授の市川真人さんは「羽田ゾンビがありとあらゆるものに噛みつきまくる」と羽田さんの毒舌が作中で炸裂しているしていると紹介した。「読みたい人より書きたい人のほうが多い」「サイン会はサクラばっかり」「テレビは予定調和で既視感ばっかり」等々、自分の属する出版や芸能・メディアに対しても噛みついている。さらに「小説家のくせにテレビばっかりでまくって」等のつっこみも入り痛快だと解説した。

王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年11月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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