郊外のスーパーで主任をしている45歳の春男は、職場でも家庭でも気を使いすぎて自分の首を絞めてしまう。年下の新任店長と従業員の仲がぎくしゃくしていると見るや、自己を犠牲にして店長の好感度アップを画策するが、同時に嫉妬心にもさいなまれ…。
つぶやき芸を演じ続けてきた著者による2作目の小説で、どこにでもいそうな小市民を主人公に滑稽ながらも笑えない人生の機微がつづられる。小さなエピソードが積み重ねられる構成は、良質のコントを見ているかのよう。徐々に春男の優しい本性がにじみ出てきて、最後はホロリとさせられる。(小学館・1500円+税)
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2016年11月27日 掲載
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