「采希」。「あやき」と読む。25歳のシンガー・ソングライターだ。本書は「変わっているね」と言われ続けた彼女が、自分の素直な言葉でつづった自伝的エッセーである。教育勅語に胸を射抜かれたことや、ライブでうたう「愛国行進曲」の練習を自宅でしていたら、父に「お前は右翼か」と怒鳴られたことなどが生き生きと語られる。
中でも感動的なのは、拉致問題を知った彼女が「自分自身に果たせる役割があるんじゃないか」と思い、全身全霊で歌をつくったというエピソードだ。無性に彼女の歌が聴きたくなる。(かざひの文庫・1500円+税)
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2016年12月4日 掲載
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