【手帖】日本統治下と戦後の北朝鮮経済の実相 「北朝鮮経済史 1910-60」が出版

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 北朝鮮経済の実情をデータから分析した学術書「北朝鮮経済史 1910-60」(知泉書館・2700円+税)が出版された。著者は、長年アジアの経済発展を研究する木村光彦・青山学院大教授。日本統治下の1910年から半世紀にわたる北朝鮮経済を農業、産業、初等教育、防疫の各分野から解説。編集担当の小山光夫さんは「戦前の朝鮮半島を南北に分け、膨大なデータから戦後の北朝鮮経済とをリンクして考察した初の書。現代の北朝鮮問題を考える上で、背景となった社会経済基盤を知る貴重な資料」と話す。

 本書を読むと、従来流布されている「朝鮮半島を植民地化して収奪した」日本の圧政が一面的であることはもちろん、これまで広く引用されてきた独立後初期の北朝鮮の発展と政府統計への疑問も明らかになる。読後に浮かび上がるのは、独立はしたものの自国の穀物生産量も正確に把握できない北朝鮮政府の著しい能力不足だ。

 また、巻末には、木村教授自身が所属する学会「朝鮮史研究会」への“告発文”とも読み取れる文章を「補章」として掲載。同会が極めて北朝鮮寄りの政治性とマルクス・レーニン主義の歴史観を有し、日本学術会議の協力学術研究団体でありながら、事実に基づく歴史書編纂(へんさん)をしてこなかった過去に言及する。

 一例として挙げたのが、昭和49年に刊行された『朝鮮の歴史』だ。同書は、古代から現代までを記したわが国初の朝鮮半島通史でありながら、「反日イデオロギーと情緒的日本断罪論」に終始。日本統治下で朝鮮人の生活状態が悪化した証左として挙げたデータは誤りで、悪名高い朝鮮総督府の「土地調査事業」(1910-18年)も、私有財産制のもとで近代化を進める当然のプロセスにすぎないと、木村教授は指摘する。

 『朝鮮の歴史』は、各領域の専門研究者が、学生だけでなく教員向けのテキストになることを意識して執筆された。そのため、小中高校の授業の元データにもなり、日本人の対韓国・北朝鮮観に多大な影響を与えた。戦後教育を受けたほとんどの日本人が同研究会を通じた反日イデオロギーに知らず知らずのうちに毒されている-そう確信させられる一冊だ。(村島有紀)

産経新聞
2016年12月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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