「批判を恐れず『出る杭』になります」青学・原監督決意の言葉が導いた3連覇&3冠

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 1月2・3日に開催された「第93回箱根駅伝」にて、青山学院大学の原晋監督が有言実行、見事3連覇を成し遂げました。

 2004年に同大学陸上競技部に就任した原監督は、その名も「ワクワク大作戦」を掲げて2015年の箱根駅伝で初優勝。今年2016年の箱根駅伝は「ハッピー大作戦」で39年ぶりの完全優勝、2連覇を成し遂げています。そして3連覇、さらに大学駅伝3冠がかかった今大会では「サンキュー大作戦」を決行。史上初の3連覇&3冠を成し遂げ、「3連覇、3冠、そして監督になって9度目の出場。お世話になったみなさんに“サンキュー”と言いたいんです」という言葉を現実のものとしました。

 原監督がこの偉業を成し遂げるため、自身に課した決意は生半可なものではありません。それは、今年11月ぴあより発売した書籍『人を育て 組織を鍛え 成功を呼び込む 勝利への哲学157 ~原晋、魂の語録』に収録された、彼が青学陸上部を育てる上での信念が込められた言葉の数々からもみてとれます。

 原監督がほかとは一線を画すポジティブなスローガンを常に掲げているのは「すべては明るさから始まる」という信念から。かつて「自分の言葉で表現豊かに話す選手が増えると、自然とチーム内の空気が良くなる。それによってムードが明るくなり、つらい選手も一丸となってがんばれる」と発言。箱根駅伝初優勝と同じ年の11月、全日本大学駅伝で東洋大学に敗れた際、チームが暗い雰囲気に包まれ、ネガティブな言葉を口にする選手が増えたときも、前向きな発言、前向きな考え方に転換させる必要性を感じていたそう。そこで「優勝した時と比べて悪い部分を見るんじゃなく、いい部分を見つけて、自分たちも見てる人も“ハッピー指数”を上げていこうと」考えた原監督。「チーム全員がハッピーになることが大事」と、作戦名を「ハッピー大作戦」にし結果を残しました。

 今回の作戦名「サンキュー作戦」の理由について、12月10日に行われた記者会見で「11月の下旬に、寮の風呂入ってる時、『これだ』と。なかなかよくないですか?」と自画自賛し会場を笑わせた原監督。かつて2014年のトークバトルでも、その年の新語・流行語大賞に輝いた日本エレキテル連合の決めゼリフ「ダメよ〜、ダメダメ」に引っ掛けた一発ギャグ「駒大の独走だけはダメよ〜、ダメダメ」とを繰り出し会場を笑いの渦に巻き込んみました。この“会話力”は、元営業マンだった原監督の大きな武器でもあり、陸上競技を通して生徒たちにも学ばせようとしていることの1つ。青学陸上部が行っている「朝の一言スピーチ」は、「例え話や言葉遊びを通じて、選手たちに会話力や表現力を身に付けてもらいたい」という監督の思いから。優勝翌日の1月4日、テレビに出ずっぱりの原監督は情報番組でも絶口調。そのトークの内容もニュースになるなど、彼のトーク力が駅伝の知名度を押し上げていることは間違いありません。

 会見後のトークバトルでは、「(学生が自発的に取り組んでいることで)指導者として楽をさせてもらってる。いろんなテレビに出させてもらって(笑)」とおどけてみせた監督ですが、自分がメディアに露出することで、子供たちがほかのスポーツではなく陸上を志してほしいと願っています。「ジュニア世代に陸上は楽しく夢があると発信しないと。それは優勝チームの監督の役割」という責任を感じてのことです。

 しかしその努力は生半可なものではありません。自身を「業界の異端児」と言ってはばからない原監督は「批判を恐れず『出る杭』になります」と宣言し、自らが先頭に立って発言を続けてきました。2015年に日本実業団陸上競技連合が日本新記録を出した選手に報奨金1億円を出すことを発表した際、「素晴らしいことですが、私は個人を奨励する前にやることがあると思います」とコメント。「日本記録を狙える人間なんて陸上界全体の、ほんの数パーセント。それよりも陸上界が日々、注目を浴びる仕組みを作るべきです。日本で最高峰の大会である日本選手権のスタジアムを5万人の観客で埋めるためにはどうしたらいいか。それを先に考えるべきでしょう。子供たちにそこで見たアスリートに憧れを抱いてもらう。そして、競技人口を増やさないと」とハッキリ述べています。

 ワクワクする作戦で駅伝ブームを巻き起こし、史上初の記録で新春の日本を大いに沸かせた原晋監督。彼の言葉には確かに人を動かす力がある。

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 書籍『人を育て 組織を鍛え 成功を呼び込む 勝利への哲学157 ~原晋、魂の語録』(ぴあ)では、これまでの原監督語録157個(上記下線部はその一部)のほか、それらの背景、監督の録り下ろしインタビューを掲載。サラリーマン出身監督らしく、陸上部を“組織”と意識し、監督と選手を“上司と部下”になぞらえ、勝ちにこだわった多くの戦略術と、その根底に流れる熱い情熱、人間愛があふれる一冊となっている。

BOOKぴあ
2017年1月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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