新年一週目のランキング1位は2016年を代表する一冊『コンビニ人間』が獲得!【文芸書・ベストセラー】

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 1月1日~1月7日のAmazonの文芸書売り上げランキングが発表され、第1位は第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの『コンビニ人間』が獲得した。

 第2位は恩田陸の青春群像小説『蜜蜂と遠雷』。第3位は百田尚樹さんの衝撃作『カエルの楽園』となった。

 2017年年頭のランキングは、総じて昨年末に発表された各種の読書ランキングから影響を受けたと思われる2016年のベストセラー小説群がランクインを果たした。『コンビニ人間』は7月の芥川賞受賞以来コンスタントに売れ続け、11月には50万部を突破するという快挙も成し遂げている。『蜜蜂と遠雷』は9月の発売以降、プロの作家からも絶賛を受け、12月20日には第156回直木賞候補にノミネートされた。また紀伊國屋書店スタッフが選んだ「キノベス!2017」の第3位にも入賞している。

1位『コンビニ人間』村田沙耶香[著](文藝春秋)

 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて……。現代の実存を軽やかに問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。第155回芥川賞受賞。(文藝春秋ウェブサイトより抜粋)

 Book Bangでは写真家の長島有里枝さんと、文芸ジャーナリスト佐久間文子さん、書店員さんによる書評が掲載されている。

長島有里枝さん(写真家)レビュー
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異質な自分をめぐって
社会生活のあらゆる場で、自分が「異質」だと思い知らされているのに、自分のなにが「悪い」のかはいつまでたってもわからない。芥川賞に決まったこの作品の主人公を通して、見えてくるのは自分にも馴染(なじ)み深い、そんな世界だ。…
https://www.bookbang.jp/review/article/516453
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佐久間文子さん(文芸ジャーナリスト)レビュー
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ひっそり異議を唱える芥川賞受賞作『コンビニ人間』
「コンビニ人間」と聞いて、あなたはどういう人間を想像するだろう。他人に都合よくつかわれる人? いつもコンビニにいる人? それともコンビニのご飯ばかり食べている人だろうか。
 本書の主人公、三十六歳独身の恵子はそのいずれにも当てはまる、べテランコンビニ店員である。一つの店舗に十八年という勤続期間の長さは「コンビニのバイト」というどこの街にもいる透明な存在に特別な重みを与え、バイト仲間や学生時代の友人からの「なぜ?」という質問を誘発してしまう。…
https://www.bookbang.jp/review/article/517103
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渕書店さんレビュー
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「人生それぞれ。何が悪い?ゴーゴー!!」
主人公の周囲に対する冷めた温度感は読者を妙に安定させる。清々しくて心地いい。社会学的見地から読めばまた別の読みかたも生まれるのであろうがそんな読み方はしなかった。彼女の生きざまを「障害」とみる見方もあるし、彼女の周囲はそう考えるわけだが――。…
https://www.bookbang.jp/review/article/517515
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2位『蜜蜂と遠雷』恩田陸[著](幻冬舎)

俺はまだ、神に愛されているだろうか? ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!(幻冬舎ウェブサイトより)幻冬舎の月刊PR誌「PONTOON」にて連載された音楽小説。数多の個性的な天才たちが鎬を削るピアノコンクールがドラマチックに描かれる。

 Book Bangでは書評家の杉江松恋さんと作家の朝井リョウさんによる書評が掲載されている。

杉江松恋さん(書評家)レビュー
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 才能と情熱の小説である。

 恩田陸『蜜蜂と遠雷』は、国際ピアノコンクールを主舞台として描かれる音楽小説であり、演奏行為を通じて、さまざまなことが綴られていく。ある表現を用いるときにはどのような気持ちが託されるか、技術を錬磨していく中では必然的に自身と対話しなければならなくなるが…
https://www.bookbang.jp/review/article/519375
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朝井リョウさん(作家)レビュー
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小説の魅力すべて凝縮

 読書面が日曜の朝刊で本当によかった。五百ページ超えの二段組、大ボリュームのこの物語は、読み終わるまで私たちを放してくれない。休日に一気読みすることをオススメする。
https://www.bookbang.jp/review/article/521681
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3位『カエルの楽園』百田尚樹[著](新潮社)

 安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、平和で豊かな国「ナパージュ」にたどり着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守り穏やかに暮らしていた。ある事件が起こるまでは―。著者自らが「私の最高傑作」と断言。平和とは何か。愚かなのは誰か。大衆社会の本質を衝いた、寓話的「警世の書」。(新潮社ウェブサイトより抜粋)

 Book Bangでは百田さんの刊行記念インタビューが掲載されている。

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 作家になって10年。常に異なるジャンルの小説を書き続けてきた著者が、節目の年に新たに挑んだのは「寓話」。警世の書としても読める待望の最新長編はどのようにして生まれたのか。自身の言葉で語ってもらった。…
https://www.bookbang.jp/review/article/512301
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 4位以下は次の通り。

4位『罪の声』塩田武士[著](講談社)

5位『いまさら翼といわれても』米澤穂信[著](KADOKAWA)

6位『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』梶山三郎[著](講談社)

7位『夏井いつきの超カンタン! 俳句塾』夏井いつき[著](世界文化社)

8位『マチネの終わりに』平野啓一郎[著](毎日新聞出版)

9位『春に散る 上』沢木耕太郎[著](朝日新聞出版)

10位『春に散る 下』沢木耕太郎[著](朝日新聞出版)

Amazon文芸書売り上げランキングより 集計期間1月1日~1月7日〉

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年1月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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