『白い犬』
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【写真集】『白い犬』梅佳代
[レビュアー] 産経新聞社
■面白く味わい深く
日常的な風景から、グッと心を動かされる絶妙の瞬間を切り取る人気写真家、梅佳代による久々の新作。これまでの作品にも登場していた実家の犬、リョウの未発表作品をまとめている。
隙間から顔を半分だけ出していたり、おかしな格好で跳ねていたり、白い雪に白い犬の図とか、路上のヘビに逃げ腰とか、めっちゃ変顔とか…面白い写真が次々に登場する。かわいいペットという感じではない。でも眺めていると、ちゃんと梅家の一員であることが伝わってくる。面白く味わい深いドキュメンタリーだ。
〈はじめのころは木の枝で撫(な)でとったけど、最後のほうは友だちやったと思う〉
帰省するたびに撮っていたのだろう。日付をたどると十数年分。拾われてきてリョウと名付けられた犬は、年をとってよぼよぼになったある日、居間に入ってくると家族の顔をじっと見つめて、すこし寄り添ってから部屋を出ていった、という。
そして〈夜の間に山に行ってもう帰ってこんかった〉。(新潮社・2500円+税)(存)