【児童書】『うちって やっぱり なんかへん?』

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【児童書】『うちって やっぱり なんかへん?』

[レビュアー] 産経新聞社

■おしゃれな絵とユーモア

 みんなと違う、変わってるね、と言われるのがこわかった子供のころ。平気になったのはいつだろう。

 舞台は1960年代のノルウェー、「わたし」は7歳の女の子。ほしいものは自転車。建築家の両親と祖母、姉と妹で暮らしている。家の食卓のイスは脚が3本しかない。パパは口ひげをはやし、ママはきれいなレースの洋服が嫌いで、マリメッコのカラフルな布で美術館の作品のようなワンピースを縫ってくれる。もっと普通の生活がしたいのに…。でも、幸せな「普通の家族」に見えた親友のパパは、家を出てしまって、「わたし」と彼女の仲にも微妙な距離ができる。

 作者はアカデミー賞受賞のアニメーション監督。原作となる短編アニメ映画を絵本化した。最後の場面は、両親がイギリスから取り寄せてくれた「モールトン自転車」に乗る3姉妹の後ろ姿。へんてこ自転車で気持ちよさそうに走る姿に「変わっているけれど素晴らしい」というメッセージが込められている。おしゃれな絵、ユーモラスな語り口が楽しい。(トーリル・コーヴェ作、青木順子訳/偕成社・1500円+税) 

 永井優子

産経新聞
2017年2月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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