『騎士団長殺し』発売記念 女優の杏さんがお薦めする村上春樹作品は『日出る国の工場』

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。2月26日の放送では24日に村上春樹さんの最新長編『騎士団長殺し』(新潮社)が発売されたことを受け、「村上春樹を読む」と題し、2人がお薦めの村上作品を持ちよった。

■ほっこしりた工場レポート

 杏さんは「おじさん2人が工場へ行っちゃうぞ」と『日出る国の工場』村上春樹[著]安西水丸[著](新潮社)を紹介した。村上さんがイラストレーターの安西さんとともに七つの工場を訪ね、イラストとエッセイでまとめた一冊。訪れた工場は「人体標本工場」「消しゴム工場」「コム・デ・ギャルソン工場」「コンパクト・ディスク工場」に「アデランス工場」さらには「牧場」や「結婚式場」も「工場」として取材している。

 杏さんは同作を「脱力系エッセイ」と評し「昔からの知り合いの2人のノリツッコミから生まれる軽さがある」と解説。当時発売されたばかりのCDの工場や、社会がバブルに向かうなかでの豪華だがシステマティックな結婚式場が工場として扱われていることに触れ、そこから読みとれる80年代後半の世相も気になると解説した。また杏さんは2人とは面識があり、2人とも「ほんわかした人」だと明かし、その2人が30代のころに工場見学していたんだと思うと「ほっこりするんですよねえ」と同書を薦めた理由を語った。


■村上春樹は「書くことについて」から綴りはじめた

 大倉さんは「つんと冷たく新しい風の香りを鼻の奥で感じました」と『風の歌を聴け』(講談社)を紹介した。同作は1979年に発表された村上さんのデビュー作で「鼠三部作」の1作目。

1970年の夏、海辺の街に帰省した〈僕〉は、友人の〈鼠〉とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、〈僕〉の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。(講談社ウェブサイトより)

 大倉さんは最新刊を読むに当たり、まず最初に戻ってみようと提案。そして当時村上さんの文章に触れた時、その文体に「こんな日本語使わねえだろう」と驚き、違和感があったと告白した。そして同書の冒頭が「文章を書くということについて」語られていることに触れ「すごく新鮮」と改めて読みかえした感想を語った。

 杏さんは『風の歌を聴け』の文体やストーリー内の時間の流れに「余裕や隙間から来る風を感じる」と話し、なにごともテンポの速い現代との違いを見いだし「流れていた時間や会話の速度もひょっとしたらずいぶん違うのかな」と当時の時代のテンポを味わえると感想を述べた。

 また村上さんの新刊発売時のフィーバーについて杏さんは「みんなで一斉に楽しめるっていう楽しみ方がある」と語り、大倉さんも「ある種の文芸祭りみたいなところがありますからね」と、お祭りに乗ってゆくこともひとつの楽しみ方であると提案した。

 3週連続ゲストのユウキロックさんは『帰れぬ人びと』鷺沢萠[著](文藝春秋)を紹介。三省堂書店の内田剛さんが『東海道新幹線の車窓は、こんなに面白い!』栗原景[著](東洋経済新報社)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。またradikoのタイムフリー機能を使い、過去1週間以内の放送を聴取することもできる。聴取はradikoのスマートフォンアプリや下記のURLから。
http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20170226000000

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年2月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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