【手帖】本屋さんの「思い」にふれる

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 インターネットで手軽に欲しい本が買える。しかも翌日とかに自宅に届く。一方、特に大手の本屋には平日の昼間でも多くのお客が来て、書棚とにらめっこしている。お目当ての本が見つからなければ店員に聞く。思わぬ本との出合いもあって、家路につきながらそっと最初のページを開く。

 そんな書店が来店者向けに出しているのがフリーペーパーだ。店の入り口辺りかカウンターに置いてある。たとえば紀伊國屋書店の「キノベス!」。副題に「書店スタッフが全力でおすすめするベスト30」とある。過去1年以内の新刊を対象に全スタッフから公募。その推薦コメントを基に投票で順位を決めたという。

 「ベスト30」の1位は、『翻訳できない世界のことば』(エラ・フランシス・サンダース著、前田まゆみ訳、創元社)。この本へのコメントは「感性を豊かに刺激してくれる」(A氏・東京・新宿本店)、「日本語も素晴らしいように、他の国の言語も素敵(すてき)だと気づきます」(B氏・札幌本店)…。各本の順位の理由が売り上げだけでなく、立体的に伝わる。

 また、三省堂書店の「新書かわらばん」は、東京・神保町本店の新書応援ユニット“新書ガールズ”が発行している。A4判・片面印刷と読みやすい。しかも内容は「今月の目玉新刊」「当店の好評既刊」、さらに「2月新書ラインアップ」「神保町本店1月の新書ベスト10」と多岐に及ぶ。

 「毎月お出ししていますが、1人か2人で作っています。忙しい合間でも、読んでくださる方々がいるとうれしいですよ」と女性店員さん。

 ちなみにガールズが「今月の目玉新刊」に選んだのは、『話すための英語力』(鳥飼玖美子著、講談社)。「英語への苦手意識をどう克服するか。著者がその最良の方法論を丁寧に解説します」と薦める。

 さらに、「本の街・神保町」には、店舗『本と街の案内所』があり、ぶらりと立ち寄れる。どこの本屋が希望に合っているのか、食事はどこで…の質問に答えている。

 ネット派の方々、たまには本と店員さんとの出逢(であ)いを楽しんでみては。(川村達哉)

産経新聞
2017年2月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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