まず、書名の意味について「言語芸術そのものの性質やその存在に関する疑義を投げかけようとする姿勢」だと、他の著者による概説書から引用する。
例を挙げた方が分かりやすい。「アルジャーノンに花束を」は日本でもドラマなどになり有名だ。ある医療によって知能が上昇していく主人公を描く際、文体もそれに従って変化していく。
本書は実験小説について論じつつ具体例をひもとき、作品の無限の可能性を果敢に切り開く存在だと述べる。SFやシュールレアリスムなどの言葉に心引かれた人には、くすぐられる小説のカタログだ。(彩流社・2200円+税)
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2017年3月5日 掲載
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