【手帖】本邦初、セルバンテス全集の刊行始まる

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 本邦初、セルバンテス全集の刊行始まる セルバンテス没後400年にあたった昨年に刊行を開始する予定だった水声社のセルバンテス全集7巻の刊行が2月に始まった。第1回配本は『ドン・キホーテ前篇』(1万円+税)。今後隔月1巻のぺースで刊行する。価格は各巻ごとに異なる。鼓直氏の責任編集で、編集委員には樋口正義、荻内勝之、田尻陽一、本田誠二の4氏が名を連ねる。

 構成は(1)『ガラテーア』(2)『ドン・キホーテ前篇』(3)『ドン・キホーテ後篇』(4)『模範小説集』(5)『戯曲集』(6)『パルナソ山への旅および詩作品』(7)『ペルシーレスとシヒスムンダの冒険』。『ガラテーア』は処女作である牧人小説、『パルナソ山への旅』は文学的遺書ともいえる自伝的長詩、『ペルシーレスとシヒスムンダの冒険』は遺作で死後に出版された長編冒険譚(たん)。

 『ドン・キホーテ前後篇』は岡村一氏による新訳。『模範小説集』の「にせの伯母さん」、『戯曲集』の「序文」「気風のいいスペイン人」「ペドロ・デ・ウルデマーラス」「アルジェの牢獄(ろうごく)」「アルジェの生活」「トランパゴスという名のやもめのヒモの幕間(まくあい)劇」「嫉妬の館」「幸せなならず者」「愉快な女」「偉大なるトルコ皇妃」「愛の迷宮」は本邦初訳となる。

 水声社では「『ドン・キホーテ』以外の作品をふくめた全作品を鳥瞰(ちょうかん)したときに初めて、セルバンテスの実像や『ドン・キホーテ』という作品自体が、よりよく見えてくるはず」と全集刊行の意義を説明、「訳は簡潔・明瞭をモットーとし、読みやすさ・分かりやすさを目指し、個々の作品には訳注と解説を付した」という。また、「翻訳はひとつの解釈。読みの多様性こそ、セルバンテスが求めたもの」との立場から、訳者ごとに文体や解釈の違いが生じることを許容し、あえて統一することはしない。(桑原聡)

産経新聞
2017年3月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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