女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。3月5日の放送では杏さんはさまざまなかたちの「I Love You」が収録された一冊を紹介した。

■「I Love You」を100人が100通りの表現

 杏さんは「言い慣れてない人も、言い飽きた人も」と『I Love Youの訳し方』望月竜馬[著](雷鳥社)を紹介。同書は100人の作家による100通りの「I Love You」 の表現が収録された一冊。夏目漱石が「I Love You」を「月がきれいですね」と訳したように、言葉と向き合う作家たちがそれぞれの感性で「I Love You」をあらわしている。「情熱的に」「感傷的に」「個性的に」「狂気的に」「浪漫的に」と5つのテーマにそった表現が集められており、中には歯の浮くようなものから真摯なものまで様々な「I Love You」の表現が収録されている。一例をあげると――

 太宰治は「私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。私ひとりの力では、とても消す事が出来ないのです」(「斜陽」より)と相手のせいにする。
 豊島与志雄は「これからどこかへ酒を飲みに行こう。君を酔っ払わしてみたいんだ」(「溺るるもの」より)と誘う。
 夢野久作は「神様、神様。あなたはなぜ私たち二人を、一思いに屠殺(ころ)して下さらないのですか……」(「瓶詰地獄」より)と苦しむ。

 杏さんはホワイトデーを前に「参考になる方がいらっしゃるのかな」と同書を紹介。そして「このなかの響く言葉をこのままそらんじて言うというのもオリジナリティがない話になっちゃうけど、ストックとしてこういう表現があるんだ」と男性たちが愛を囁くときの参考になると薦めた。

■杏さんは「I Love You」を言っているのか?

 2人はお互いに「I Love You」を口にしているのか、と話を弾ませた。大倉さんは「じゃあ杏ちゃんはどうしてる?」と夫である東出昌大さんに愛の言葉をかけているのかと直撃。しかし杏さんは「わたしは子どもにも犬にも言いますよ。普通に言いますよ『可愛いねえ』とか」と話題をそらし、「子どもに掛け値なしに(愛の言葉を)言えるのは実は短いのかな、いまのうちに言っておかないと」と双子の子どもたちには毎日のように愛の言葉をかけていると明かした。

■半村良を再評価しようじゃないか

 大倉さんは「こんなところに行ってみたかった」と『魔境殺神事件』半村良[著](祥伝社)を紹介した。

〈死体は……そう,80メートルほどの高さに浮かんでいた。その死体はどうしようもなく,宙に浮かんでいるのだ〉ここは世界の火薬庫にして魔境。アフガニスタン,パキスタンの国境地域には少数民族ごとに神と呼ばれる超能力者がおり,その死体も神の1人だった。自ら超能力を持つ松田(まつだ)はインド軍に強制連行され,世にも奇妙な「殺神事件」の究明を命じられた!(祥伝社ウェブサイトより)

 民族的にも宗教的にも複雑な地域で起こる殺人事件。主人公も犠牲者も超能力者という荒唐無稽な設定だが、大倉さんは「一見突飛な設定だが半村良は半端な小説は書かないんですよ」と力説。そして「半村良をもう一回評価しようじゃないか」と杏さんを誘うと、杏さんも「半村良デビューしたいです」と乗り気だった。

 3週連続ゲストのユウキロックさんは『告白』湊かなえ[著](双葉社)を紹介。また千駄木の往来堂書店店長・笈入建志さんが『東京湾諸島』加藤庸二[著](駒草出版)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。またradikoのタイムフリー機能を使い、過去1週間以内の放送を聴取することもできる。聴取はradikoのスマートフォンアプリや下記のURLから。
http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20170305000000

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年3月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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