【児童書】『きょうりゅうたちがけんかした』
[レビュアー] 産経新聞社
■いさかいを収めるヒント
プロケラトサウルス、アンハングエラ、カアテドクス…。やや珍しい恐竜たちが登場する。「あーあ、けんかになっちゃった。きょうりゅうたちはどうするの?」と本書は始まる。
そして、さまざまな恐竜たちがけんかをしそうなムードになる。相手のタオルを汚したり、黒板に悪口を書いたり、弁当を遠くにぶん投げようと…。
そして中盤、仲直りの方法が示される。「ごめんね」と書いた手紙を渡したり、玩具を貸してあげたり、クッキーを焼いて持っていったり。「けんかをしたって ほんとはなかよし」「けんかのあとには ますますなかよし」
絵がリアルでありながらも柔らかいタッチで、表情豊かに描かれている。恐竜好きの子供たちも喜ぶだろうが、老若男女のいさかいを収めるヒントにも。
作者のヨーレン氏は1939年、米ニューヨーク生まれ。子供と大人向けに200冊を超える著作を出している。3人の子供と6人の孫に恵まれたのが創作のアイデアと力になっているのだろう。(ジェイン・ヨーレン文、マーク・ティーグ絵、なかがわ ちひろ訳/小峰書店・1400円+税)
川村達哉