そもそも「IoT」で何が変わるのか

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最近、流行しているキーワード「IoT」(アイオーティー:Internet of Things)。IoTは《モノのインターネット》と直訳されます。けれども、あらためて「果たしてその実態は?」と考えると、いまひとつはっきりしないのではないでしょうか。IoTにより何が変わるのでしょうか。サイエンス・アイ新書『IoTを支える技術』の著者・菊地正典さんに伺いました。

呼気データでガンを診断できる!?─いつでも、どこでも、誰でも診断可能にするIoT

 IoTの進展に伴い、将来は1兆個もの膨大なセンサー類がつながるようになるといわれています。「センサー」(sensor)は、自然物や人工物の性質や情報を、科学的な原理に基づいて、扱いやすい電気信号に変換する素子・装置です。

 一般に「センサー」と呼ばれるものの多くは、電気製品や電子機器の中で、言わば「裏方的な役割」を演じ続けてきました(「電子の目」と呼ばれるイメージセンサーは例外としても)。それがIoT時代を迎えるにあたり、ネットワークのエッジに位置するキーデバイスとして、にわかに脚光を浴びるようになってきたのです。IoTそのものを、「センサーネットワーク」と呼ぶ傾向さえ見受けられるほどです。

 センサーの役割は、IoTのT(Things)「=モノ」から各種のデータを情報として吸い上げ、インターネットに載せることで情報が有機的につながり、それに分析や解析などの各種処理を行って、ユーザーが必要なアクションにつなげることにあります。

 センサーを五感すなわち、視覚、触覚、聴覚、味覚、嗅覚と対比させて考えると、小型・軽量・高精度・低価格の味覚センサーや嗅覚センサーはまだまだ不十分なレベルといえます。しかし、もし優れた嗅覚センサーが開発されれば、医療やヘルスケアの分野に多大な貢献をもたらすと考えられています。

 その理由の一つに、生体ガスと病気との関連性に関する最新の研究があります。すなわち、呼気に含まれるガスや皮膚細胞の隙間から出るガスと病気の相関性に対する知見が徐々に増えつつあるからです。

 たとえば、アセトアルデヒドと肺癌、アセトンと糖尿病、アンモニアやエタノールと肝硬変、等々です。このような生体ガス診断は、簡易な検診のほかに治療経過の観察にも大いに役立つでしょう。今後、分析ガスの種類や臨床例を増やし、相関精度を上げつつ、医学的知見の拡大と根拠の確立が必要になります。

 このような目的のセンサーの1つとして、MEMS(メムス:Micro Electro Mechanical System)技術を用いたMSS(膜型表面応力センサー)と呼ばれる超小型嗅覚分析センサーシステムも研究開発されています。このセンサーは、MSS表面に感応膜を塗布し、この膜にガス分子が吸着するとわずかな歪が発生する現象を利用しています。

 いつでも・どこでも・だれでもできる診断装置向けセンサーを開発量産化し、得られたデータをIoTのビッグデータ解析により、早期かつ的確な診断につなげることで、医療の革新的な進歩が期待されています。


ネットワークにつながれたセンサーのイメージ(『IoTを支える技術』p.30より)

SBCrOnline
2017年4月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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