筒井康隆原作映画祭! ライムスター宇多丸・プレゼンツ「筒井康隆ナイト」

イベントレポート

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ライムスター宇多丸
ライムスター宇多丸

〈神楽坂ブック倶楽部発足!イベント詳報〉「時をかける少女」だけじゃない! ヒップホップ界を代表するツツイストが、あの巨匠の原作映画の面白さに切り込みます。

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 今回、「オールナイト番組の企画と上映作品セレクト」というお話を頂きまして、飯田橋ギンレイホールさんには学生時代からたいへんお世話になってきましたから、喜んで受けさせてもらったわけですけども、今夜の「筒井康隆ナイト」以外にも実はいくつか案を出したんです。

 女性アイドルの映画はたくさんあるし、上映の機会もあるので、「80年代男性アイドル映画ナイト」はどうか、とかね。大森一樹監督の「すかんぴんウォーク」(84年)に始まる吉川晃司三部作、「すかんぴんウォーク」が代表作っぽく評価されていますが、「ユー★ガッタ★チャンス」(85年)、「テイク・イット・イージー」(86年)とアクション映画化していく二作目、三作目を改めて観たいなと。

 さらに「CHECKERS in TAN TAN たぬき」(川島透監督 85年)とか、森田芳光監督作品で唯一ソフト化されていない「シブがき隊 ボーイズ&ガールズ」(82年)とか。これ、たった七十八分の映画なんですよ。なのでもう一本入れるなら、「ハイティーン・ブギ」(近藤真彦主演 舛田利雄監督 82年)あたり。

 もう一案はただの女性アイドル映画じゃなくて、「80年代オルタナ女性アイドル映画ナイト」。今夜やる「ウィークエンド・シャッフル」(82年)の中村幻児監督の「V.マドンナ大戦争」(宇沙美ゆかり主演 85年)、それに「ザ・オーディション」(セイントフォー主演 新城卓監督 84年)が並べばもう満足だろ、というね。あと一、二本選べば、「おニャン子・ザ・ムービー 危機イッパツ!」(おニャン子クラブ主演 原田眞人監督 86年)とか「クララ白書 少女隊PHOON」(少女隊主演 河崎義祐監督 85年)。作品としては微妙なのもあるけど(笑)、そういうオールナイトもいいかなあと。

 あとは「タモさん映画ナイト」も考えました。「キッドナップ・ブルース」(82年)って知ってます? 浅井慎平初監督作品。蓮實重彦がその年のワーストに挙げていましたけど(笑)。あとタモさんが出ていると言えば「下落合焼とりムービー」(所ジョージ主演 山本晋也監督 79年)もありますね。

 で、「神楽坂ブック倶楽部」のイベントということもあって、ギンレイホールさんに選ばれたのは「筒井康隆ナイト」でした。実は、佐賀のシアターシエマという映画館で、「ウィークエンド・シャッフル」、「俗物図鑑」(内藤誠監督 82年)、「ジャズ大名」(岡本喜八監督 86年)が交互にかかるプログラムをやって、僕はトークショーみたいな感じで呼ばれたことがあるんです。それのパクリ企画ですね(笑)。無論、シエマさんにはお断りしてご許可頂きました。「ジャズ大名」は激しいジャム・セッションがあって、朝になってみると新しい時代が来ていたというラストですから、これで終わるのもいいかなと思いましたが、さらにもう一本「パプリカ」(今敏監督 06年)もやって、夢の中に入ってもらおうと(笑)。

 この中では「俗物図鑑」が珍しいというか、ソフトもないし、どうすれば上映できるのかなと思っていたんですが、意外や意外というか、そりゃそうかというか、内藤監督がフィルムと権利を持っておられて、お借りすることができました。

新潮社 波
2017年4月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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