「尊皇攘夷」は“西軍”の口実だった 明治維新のもう一つの側面に杏さんも納得

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。4月8日の放送では杏さんは幕末のもう一つの側面を教えてくれる一冊を紹介した。

■幕末のもう一つの見方

 この日杏さんは半藤一利さんの『もう一つの「幕末史」:“裏側”にこそ「本当の歴史」がある!』(三笠書房)を紹介した。半藤さんは以前『幕末史』(新潮社)を上梓しており、杏さんはその前作について「幕末史を俯瞰で見るならこの本だ」と述べたうえで、その著者が記す幕末史の裏側ということで興味を惹かれたという。

 現代の我々が理解している幕末像は“勝者の歴史”だというところから半藤さんは語り始める。官軍とはなんなのか、というところから話ははじまる。半藤さんは同書の中で官軍を一貫して“西軍”と呼び、彼らの尊皇攘夷という御旗は口実でしかなかったのではないかと独自の歴史観を語る。また明治維新の“維新”という言葉自体、明治10年以降から使われだした言葉だったと解説し、そこにすけて見える薩長閥の思惑を解き明かす。

 杏さんは同書を読み、幕府側も古い体制を堅持したいだけの馬鹿ではなく「正義と悪じゃない。どちらの言い分も正しい側面があった。私たちはもう一度負けてしまった側の本当に義があったところも見てみたいなと思った」と感想を口にした。また半藤さんが「これってムカつきますよね」などくだけた表現も多く使われており歴史好き以外の人でも楽しめると解説した。

■いかなる立場の人も読むべき“本当の戦争”の話

 大倉さんは「今の日本で本当の戦争の話が出来る人の本」と『本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る』伊勢崎賢治[著](朝日出版社)を紹介した。伊勢崎さんはNGO・国際連合職員として世界各地の紛争地域で紛争の処理や武装解除などに当たった経験をもつ。同書は伊勢崎さんが東日本大震災の翌年、福島の高校生たちへ講義し、彼らの問いかけに応じ本気で議論をした、その記録となっている。伊勢崎さんは高校生たちにもわかり易い言葉で戦争を語り、震災を経験した彼らの真摯な問いに真剣に向き合っている。

 大倉さんは「内容があまりに濃い。良いのは伊勢崎さんが真正面から答えていること。子供だからといって優しくしようとはしていない。何が起こったかについて細かに話している。だから生徒の問いも濃くなっている」と賞賛した。そして日本でも憲法の問題で揺れているが「どんな立場のひとも伊勢崎さんの本を読んだほうがいい。本当の現場がこういうことなんだと話してくれている」と強く薦めた。

 また3週連続ゲストで『日本3.0 2020年の人生戦略』(幻冬舎)を上梓したニューズピックス編集長の佐々木紀彦さんが『オシム語録 人を導く126の教え』田村修一[監修](文藝春秋)を紹介。また下北沢の書店B&B店長の寺島さやかさんが『捕食動物写真集』新紀元社[編](新紀元社)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週土曜22時から放送中。またradikoのタイムフリー機能を使い、過去1週間以内の放送を聴取することもできる。聴取はradikoのスマートフォンアプリや下記のURLから。
http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20170408220000

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年4月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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