【話題の本】『職場の問題地図』沢渡あまね著

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【話題の本】『職場の問題地図』沢渡あまね著

[レビュアー] 油原聡子

 ■思わず共感、働き方改善の道とは?

 「ワークライフバランス」「働き方改革」という言葉が流行語のように飛び交っているが、労働環境改善を実感できない会社員は少なくないのではないだろうか。

 本書は、働き方改革の現場で陥りがちな罠(わな)と対策について具体的に解説している。図解を多用しているのが特徴で、たとえば、巻頭の地図によって問題の全体像を俯瞰(ふかん)できる。「仕事をしない人がいる」から伸びる矢印が指すのは「モチベーションダウン」。「対面至上主義」からは「自由な働き方にならない」「無駄な会議が多い」につながり、原因と結果が分かりやすい。

 技術評論社によると初版は5000部だったが、刊行後に、電通での問題が大きく報道されたこともあり、現在12刷6万1000部と好調だ。新入社員から中間管理職まで幅広く読まれ、女性の購入も目立つという。

 「働き方の問題は、全体像を押さえられる本がこれまであまりなかった」と担当編集者。「わが社をのぞかれているみたい」という感想が最も多く、「上司の席に置いておきたい」という声も。「あるある」と共感できるだけでなく、職場の問題を解決に導く手助けとなる一冊だ。(技術評論社・1480円+税)

 油原聡子

産経新聞
2017年4月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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