【話題の本】『おかんメールFinal』おかんメール制作委員会編
[レビュアー] 黒沢綾子
■母からの愛と笑い、永遠に
「いまから孵(かえ)るわ」
「かつあげはじめていい?」
「あんた、シンゴリラ観(み)た?」
携帯電話を使い慣れない母親からのメールは誤変換、誤字脱字、謎の省略が多い。そんな母の面白メールを集めた『おかんメール』が初めて発売されたのは、3年前の母の日だった。一気に注目され、シリーズ累計で43万部を突破。このほど刊行された第7弾で、幕を閉じることになった。
編集を担当した扶桑社の高橋香澄さんは「“おかんメール”という言葉も広く浸透し、一定の役割を終えた」と話す。当初、おかんたちはいわゆる“ガラケー”を使っていたが、3年の間にスマートフォンに持ち替え、対話アプリ「LINE」などで息子や娘と連絡を取り合うようになった。「ガラケー時代のような、爆発的に面白いメールは少なくなってきた」と高橋さん。つまり、母たちは携帯の扱いに慣れてしまったのだ。
それでも内容が意味不明だったり、絵文字やLINEスタンプの使い方を誤っていたり、ありえないほどユルい写真を送り付けてきたりと、相変わらず笑わせてくれる。そして、ウルッとさせる。よそのお母さんであっても。もうすぐ母の日。(扶桑社・1000円+税)
黒沢綾子