第17回本格ミステリ大賞が決定 竹本健治さん『涙香迷宮』が受賞

文学賞・賞

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 第17回本格ミステリ大賞の公開開票式が12日、東京都内にて行われ、小説部門の大賞に竹本健治さんの『涙香迷宮』(講談社)が選出された。

『涙香迷宮』は、IQ208の天才少年囲碁棋士が「いろは歌」を使った謎に挑む空前絶後の暗号ミステリ。いろは四十八文字を一度ずつ全て使って作るという「いろは歌」に何重にも暗号が仕掛けられ、読者は日本語の豊かさと深さに驚愕する。「このミステリーがすごい!」2017年国内編でも1位に選ばれている。

 コラムニストの香山二三郎さんは、いろは歌に仕掛けられた暗号の巧みさに舌を巻き、竹本さんを「鬼才」と評する。そして《超絶技巧だけでも堪能する価値ありの傑作暗号ミステリーだ》(週刊新潮・書評欄)と薦めている。
https://www.bookbang.jp/review/article/510673

 竹本健治さんは1954年、兵庫県生まれ。東洋大学文学部哲学科中退。雑誌「幻影城」で『匣の中の失楽』を連載しデビュー。1979年『匣の中の失楽』が第32回日本推理作家協会賞(長編部門)候補作に選ばれる。以来、ミステリ、SF、ホラーと幅広いジャンルの作品を発表している。

 評論・研究部門は、喜国雅彦・国樹由香さんの『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』(講談社)が受賞した。

 本格ミステリ大賞は、本格ミステリ作家クラブが主催する。小説部門と評論・研究部門にわかれており、本格ミステリというジャンルの発展に貢献した作品を選び表彰される。毎年単行本化された作品の中から、同クラブの会員の投票で5作品を選出したのち、全ての作品を読んだ会員が投票を行い大賞を決定する。

 過去には小説部門で東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』(第6回)、人気グループ「嵐」の相葉雅紀主演のドラマ「貴族探偵」の作者・麻耶雄嵩さんの『隻眼の少女』(第11回)、評論・研究部門では北村薫さんの『ニッポン硬貨の謎』(第6回)、飯城勇三さんの『エラリー・クイーン論』(第11回)などが大賞に輝いている。

 第17回の候補作品は以下のとおり。

【小説部門】候補作
『悪魔を憐れむ』西澤保彦
『おやすみ人面瘡』白井智之
『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』井上真偽
『誰も僕を裁けない』早坂吝
『涙香迷宮』竹本健治

【評論・研究部門】候補作
『顔の剝奪 文学から〈他者のあやうさ〉を読む』鈴木智之
『現代華文推理系列』全三集 稲村文吾(訳)
『鉄道ミステリーの系譜 シャーロック・ホームズから十津川警部まで』原口隆行
『ぼくのミステリ・クロニクル』戸川安宣(著)、空犬太郎(編)
『本格力本棚探偵のミステリ・ブックガイド』喜国雅彦、国樹由香

Book Bang編集部
2017年5月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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