稲垣吾郎「こんなにも主人公のことを嫌いになったり、好きになる小説ってあまりない」又吉2作目を賞賛

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 稲垣吾郎さん(43)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」に5月19日、お笑い芸人で作家のピース・又吉直樹さん(36)が出演した。稲垣さんは又吉さん2作目の小説『劇場』(新潮社)を読み「こんなにも主人公のことを嫌いになったり、好きになる小説ってあまりない」と心動かされる小説だったと評価した。

■恋愛が苦手な又吉が恋愛を描いた

 この日の課題図書は又吉さん2作目にして初の恋愛小説『劇場』。主人公は小劇団で劇作家を務める永田。そして女優を目指して東京にやってきた恋人の沙希。2人の不器用な恋愛を描いた物語だ。
 番組に登場した又吉さんは「ようやく書けた。僕的には満足のゆくものが書けた」と自信をあらわす。2作目を恋愛小説にした理由については、又吉さんの恋愛に関するエッセイを読んだ編集者から、こうした恋愛にまつわる感覚を小説で描いたら面白いものが立ち上がるかもしれない、と勧められたからだと明かした。そして「恋愛に詳しい人だけが恋愛の話を書いて良い訳ではない。苦手な僕が考えるものはどんなものかなと」今作に取り組んだという。

■みんなの意見を聞く必要はない

 今作を書く前に、前作『火花』に対する批評や評価には「かなり目を通した」と話した又吉さん。しかしそれぞれの感想は全く別のことを褒めていたり、貶していたりと「みんなの意見を聞くと何も残らへん。難しいな」と今作を手がける前に相当悩んだという。しかし「すごく当たり前のことを思い出した。自分は子供の頃からみんなからの人気者じゃなかった。みんなの意見を聞く必要はないな」と思い返し、吹っ切れたと明かした。

 それに対し稲垣さんは「なんかいいよねこのスタイル。読みやすいよね」と番組アシスタントの外山惠理アナウンサー(41)とうなずきあった。

■「共感」=「面白い」ではない

 そして稲垣さんは「こんなにも主人公のことを嫌いになったり、好きになる小説ってあまりない。これも又吉さんの仕掛けなのかな」と感想を述べる。稲垣さんが感じたように『劇場』の主人公の永田はいわばダメ男。収入の少ない永田は、沙希の部屋に転がり込み光熱費も払わない。劇団の脚本でも評価が上がらず、ヒモ同然の暮らしを送る永田。その焦りからか他の劇団や友人に対しても嫉妬が募り、沙希や周囲の人にあたってしまうことも。

 稲垣さんは「ずっと主人公のことを好きじゃなくてもいいんですよね」と主人公の言動に振り回されたと語りながらも、又吉さんの試みを評価した。それを受け又吉さんは「共感されにくい人物を描きたかった」と主人公に込めた意図を語りだした。又吉さんは、ある作品に対する評価として“共感できた”イコール“面白い”とされることが多いと世間の傾向を推測してみせる。しかし又吉さんはそこに疑問を感じ「実は共感できなくても何かしら感じるものがあるんじゃないか、その辺を描いてみた」と人物造形に込めた思惑を明かした。

■『火花』と『劇場』両方読んでわかった

 また外山アナウンサーは『火花』と『劇場』には似ているところがあると指摘した。又吉さんは「編集の方にもレコードでいうとA面とB面の関係ですねと言われた。僕の中でも似ている小説なのかなと思った」と明かす。稲垣さんも「『火花』を読んだ方だと『劇場』を続けて読むといい。こういうスタイルの作家さんなんだ、とやっとわかった感じがする」と今作の意義を語った。

ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜0:58から放送中。次回5月25日のゲストはジェーン・スーさん。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年5月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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