「かいぶつの内蔵をみせられている気がした」西加奈子が又吉直樹二作目を激賞!

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 5月30日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は又吉直樹さんの第二作目の小説『劇場』が獲得した。
 第2位は『蜜蜂と遠雷』。第3位は『掟上今日子の裏表紙』となった。

 1位の『劇場』は今週で3週連続で1位を獲得した。又吉さん初の恋愛小説でもある同作について、交流のある作家の西加奈子さんはこう評している。

「一気に読み進めたいのだけど、実際読む手は止まらないのだけど、苦しくて苦しくて、どうしても一度伏せてしまう作品がある。そんな作品に出逢うのは稀で、だからしばらく動悸が止まらないし、読み終わった後もその世界にずっと引きずられる。『劇場』はまさにそういう作品だった」

 器用に社会に適合できない主人公の未熟な純粋さに苦しさを感じるも、「それは同時に彼の人間としての品であるように思うし、そのままこの作品の品でもあると思う。この作品は、安易な精神の逃亡を許さない」と『劇場』のもつ美しさを熱く語る。そして最後には「かいぶつみたいな作品だった。かいぶつの内臓を見せられているような気がした」と又吉さんが書き上げた恋愛小説が、途方もない傑作であることを示唆している。

https://www.bookbang.jp/review/article/532102

 BookBangでは他にも作家の服部文祥さん、町田康さんらによる書評が掲載されている。

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■服部文祥さん(登山家・作家)レビュー
 才能あふれるとはいかないが、そこそこはやっていけそうな、それでいてちょっと神経症気味の若い劇作家が人生をもがいている。天使のような同世代の女性と知り合い、親しくなっていく…
https://www.bookbang.jp/review/article/531791
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■町田康さん(作家)レビュー
 先日。自らハンドルを握り、首都高速道路三号線を用賀方面に向かって走行していたところ三軒茶屋のあたりでなんだか急速に気持ちがざわついてきたので、音楽でも聴いたら少しは気が晴れるのではないか、例えば…
https://www.bookbang.jp/review/article/532099
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1位『劇場』又吉直樹[著](新潮社)

演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った――。『火花』より先に書き始めていた又吉直樹の作家としての原点にして、書かずにはいられなかった、たったひとつの不器用な恋。夢と現実のはざまでもがきながら、かけがえのない大切な誰かを想う、切なくも胸にせまる恋愛小説。(新潮社ウェブサイトより)

2位『蜜蜂と遠雷』恩田陸[著](幻冬舎)

俺はまだ、神に愛されているだろうか? ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!(幻冬舎ウェブサイトより)幻冬舎の月刊PR誌「PONTOON」にて連載された音楽小説。数多の個性的な天才たちが鎬を削るピアノコンクールがドラマチックに描かれる。

 BookBangでは書評家の杉江松恋さんと倉本さおりさん、作家の朝井リョウさんによる書評が掲載されている。

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■杉江松恋さん(書評家)レビュー
 才能と情熱の小説である。恩田陸『蜜蜂と遠雷』は、国際ピアノコンクールを主舞台として描かれる音楽小説であり、演奏行為を通じて、さまざまなことが綴られていく。…
https://www.bookbang.jp/review/article/519375
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■倉本さおりさん(書評家、ライター)レビュー
『蜜蜂と遠雷』は、ピアニストだけでなく、ステージマネージャーや調律師、取材スタッフなど、コンクールを支える側の人間たちの姿まで細やかに描けていることも見逃せない。…
https://www.bookbang.jp/review/article/527584
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■朝井リョウさん(作家)レビュー
 読書面が日曜の朝刊で本当によかった。五百ページ超えの二段組、大ボリュームのこの物語は、読み終わるまで私たちを放してくれない。休日に一気読みすることをオススメする。…
https://www.bookbang.jp/review/article/521681
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3位『掟上今日子の裏表紙』西尾維新[著](講談社)

強盗殺人事件の容疑者として逮捕された忘却探偵・掟上今日子。現場で血まみれの凶器を握りしめて眠っていたところを発見された彼女は、事件の記憶を忘れていた。檻の中から事件の調査をしたいと申し出た今日子さんに対峙するのは、「冤罪製造器」の異名をもつ強面の警察官・日怠井。警察官の矜持と葛藤しながら彼が選択したのは、「忘却探偵の専門家」隠館厄介に協力を仰ぐことで…?(講談社ウェブサイトより)

4位『か「」く「」し「」ご「」と「』住野よる[著](新潮社)

5位『素材採取家の異世界旅行記(2)』木乃子増緒[著](アルファポリス発行/星雲社発売)

6位『素敵な日本人 東野圭吾短編集』東野圭吾[著](光文社)

7位『コーヒーが冷めないうちに』川口俊和[著](サンマーク出版)

8位『フェアリーテイル・クロニクル 空気読まない異世界ライフ(14)』埴輪星人[著](KADOKAWA)

9位『さようなら竜生、こんにちは人生(9)』永島ひろあき[著](アルファポリス発行/星雲社発売)

10位『ツバキ文具店』小川 糸[著](幻冬舎)

〈単行本 文芸書ランキング 5月30日トーハン調べ〉

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年6月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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