「うらなり」の意味がわかりますか? 齋藤孝が教える電子辞書の使い方に稲垣吾郎も納得

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 稲垣吾郎さん(43)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」に6月2日、教育学者の齋藤孝さん(56)が出演した。齋藤さんは電子辞書を使いながら夏目漱石を読むという楽しみ方を提唱した。

■語彙力アップに最適

 今週の課題図書は『漱石を電子辞書で読む』(時事通信社)。260万部を超える大ベストセラーとなった『声に出して読みたい日本語』(草思社)をはじめ日本語にまつわる本を多数執筆してきた齋藤さん。今回の書籍では齋藤さんも大ファンだという夏目漱石の著書を、電子辞書を使いながら読むという、新しいメソッドを提唱している。なんとなく知っている言葉も、電子辞書で調べながら読むと、その確かな意味や語源、また繋がりのある言葉も同時に学ぶことができ、語彙力が上がると齋藤さんは説いている。

 また齋藤さんは「漱石が使っていた言葉が現在我々が使う日本語のスタンダードになっていった」と解説する。そして「漱石の語彙を知ると日本語の基盤ができる」と漱石の作品が語彙力を鍛えるのに最適な教材だと力説していた。

■「うらなり」???

 番組では実際に電子辞書を使いながら漱石の『こころ』や『坊っちゃん』を読み込んでいった。『坊っちゃん』を稲垣さんが朗読しながら、主人公が同僚につけたあだ名「うらなりの唐茄子」に引っかかった一同。「うらなり」という言葉を電子辞書で調べてみると――。

「うらなり (1)瓜などの、のびたつるの末の方になった実。つやがなく、味も落ちる。(2)顔が長く青白くて元気のない人」(精選版日本国語大辞典より)

 2番目の意味は漱石が小説内で使ったために定着し、現在では辞書に載るほど浸透している。齋藤さんはその後も「無鉄砲」「理非」「血潮」など漱石の使った単語をとりあげながら、漱石が日本語に果たした役割を解説した。

■「真面目」はもっと重い言葉だった

 また『こころ』で20回も繰り返しでてくる「真面目」という言葉に注目した齋藤さん。齋藤さんは現代の我々が使っている「真面目」よりも漱石の使う「真面目」はもっと重い言葉だったという。「真面目」を電子辞書で調べると――。

「真面目 (1)真剣な顔つきであること。本気であること。(2)誠実であること。まごころがこもって飾りけがない事。誠意があること」

 齋藤さんは「漱石の時代の『真面目』は非常に重い言葉で、真面目に生きるかどうかが人物の評価の分かれ目だった。真面目でないと言われたら、ダメ人間と言われたのと同じだった」と解説する。それを聞いた稲垣さんは「なんか今はちょっと片仮名くらいの印象もある。『マジメ』っていう」と「真面目」を軽く考えていたと驚きながら「これは『真面目』という言葉が簡単に使えなくなってきますねえ」と普通に使っている言葉についても改めて考えさせられたようだった。

 「ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜0:58から放送中。次回6月8日のゲストは塩田武士さん。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年6月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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