文章にすると、きっと上司の気に障る「話し言葉」10選――飾り、逃げ腰、ずらし表現は嫌われる

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息もつかせぬ「なります」の5連打。使いやすいのか、「こちらがメニューになります」など、「なります」は話し言葉でも書き言葉でも大流行ですが、読み手にとっては煩わしいだけの「飾り」なので注意しましょう。次のようなシンプルな文章が好まれます。

・振込口座は、原則としてご本人名義の口座に限ります。委任状には住所・氏名・押印が必要です。記載に不備がある場合にはこちらからご返送し、ご修正いただくことになります。ゆうちょ銀行の口座番号は7ケタの数字をご記入ください。振り込み手続き終了まで、約3週間を要します。

「なります」は一度きりですみました。

逃げ腰表現──「結構」「たり」「的には」「部分」

「◯◯かな、みたいな」のような言い回しが定着したのはいつ頃からでしょうか。言い切ることをさけて曖昧にしておきたい、逃げ道を残しておきたいという心理が見えます。次にあげる「逃げ腰表現」も同じような心理から出てくる言葉です。これらは、オフィシャルな場面では会話で使うのも避けたほうが無難ですし、文章にするとさらに説得力が下がります。

5.「結構」
6.「たり」

・「気が付いたらもう週末」という忙しい生活を送っている人って結構たりするのではないでしょうか。そのような仕事漬けの日々が幸せなのだと考えるのは、勘違いだったりします。

煮え切らない文章です。言いたいことはわかるけどモヤモヤします。次のようにストレートに書いた方がすっきりしますね。

・「気が付いたらもう週末」という忙しい生活を送っている人もいると思います。そのような仕事漬けの日々が幸せなのだと考えるのは、勘違いではないでしょうか。

7.「的には」

・私的には、この問題は避けて通れないと思います。

8.「部分」

・先行するつもりでペースを上げたのでしょうが、思いのほか他の選手がついてきてしまっている部分があります。

(マラソンの解説者のコメント)

「的には」「部分」も代表的な逃げ腰表現です。ビジネス文書などで使うと読み手に「責任感がない人だな」と思われてしまうので、自分が感じたことは自信を持って言い切りましょう。

ずらし表現──「そそる」「はまる」

話し言葉では、本来の意味から少しずらした表現を使うことがあります。それに違和感を感じなくなってくると、書き言葉にも出てきてしまうので注意しましょう。

9.「そそる」

・温泉大国のアイスランドという国にそそられます

「そそる」は、「食欲をそそる」「興味をそそる」のように特定の目的語と結びついて使われる言葉です。この場合は、正しくは「アイスランドという国に惹かれます」ですね。

10.「はまる」

・最近野菜作りにはまっています

最近は、「好きなことにのめり込む」の意味で「はまる」と言う風潮がありますが、本来「はまる」は、「罠にはまる」や「策略にはまる」など、困ったことに限って使われる言葉です。「凝っています」「熱中しています」などが正しい表現です。

「ずらし表現」はこの他にもあります。「1年上の先輩」という意味で「1上の先輩」というなど、年齢を「個」というのは典型的な学生言葉です。また、最近急に増えたのが「それほど」を「そこまで」と表現する人です。

そこまで好きではない」×
それほど好きではない」◯

いかがでしょう。「ずらし表現」だと気づかずに、書き言葉にも使っていませんか?

_____
参考になったでしょうか? 上司や同僚から信頼される文章を書くためには、話し言葉に影響され過ぎないように注意しましょう。

日本実業出版社
2017年6月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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