犬派にオススメ! 忠犬60匹の感動ストーリーを紹介した『全国の犬像をめぐる』

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 6月14日放送のNHK総合「ひるまえほっと」に女優で作家・書評家の中江有里さん(43)が出演し、月に1度の「ブックレビュー」コーナーで3冊の本を紹介した。

 この日中江さんが紹介したのは、以下の3冊。
『家と庭』畑野智美[著](KADOKAWA)
『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』磯田道史[著](NHK出版)
『全国の犬像をめぐる 忠犬物語45話』青柳健二[著](青弓社)

■普通の家族なんてない

『家と庭』は東京下北沢を舞台に繰り広げられる20代フリーター男性をとりまく恋と家族の物語。主人公は母と姉2人、姉の娘と妹、5人の女性と一緒に暮らす。家族や友人との何気ない日常は主人公を徐々に変えてゆく。

 中江さんは家族を描いた小説について、「外から見ると些細な出来事だけど、本人たちにとっては一大事。だからこそ感情移入するところがある」とその面白さを解説する。そして同書を読み「家族は踏み込みすぎると自立を阻むこともある。でも本気で喧嘩もできておせっかいを焼くこともできる。その距離感をとることを常に意識しなければいけないのかなと、あらためて感じた」と語る。また番組最後には「家族には歴史があるからいろいろなことがある。“普通”の歴史はないし、“普通”の家族はない」と同作の読みどころを解説した。

■歴史を知ることは生きるうえで重要

 日本人の歴史観に大きな影響を与えた司馬遼太郎。『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』は司馬作品の読み解き方を著者ならではの視点で掘り下げた一冊。磯田さんは司馬文学で歴史を学ぶというのは、半分は正しくて、半分は間違っているという。それは司馬作品は歴史書ではなく、文学だからだと解説する。磯田さんは同書において、「司馬リテラシー」を意識しながら作品を読み解くという方法を指南している。

 中江さんは「動物は自分の経験からしか学べないが、人間は赤の他人の経験も糧にできる。そういう意味で、日本史を知るということは生きるうえで非常に重要」と述べ、同書の有用さを説いた。

■犬派にオススメ!

『全国の犬像をめぐる 忠犬物語45話』は写真家の著者が全国の犬像を訪ね歩き、写真と共にその犬についての物語45話を紹介した作品。伝説や落語のなかに登場する犬も登場する。猫か犬かと言われたら犬派だという中江さんは、「犬は一途で忠犬と呼ばれるのがよく分かる。人間との関わりが深い」と犬への愛をあらわした。そして同書には中江さんに縁のある犬も登場しているという。

 大分の九重連山で登山客をガイドしていた犬の平治。とても頭がよく、遭難のおそれがあった登山客を救ったとの言い伝えもある。現在平治の銅像が長者原に建てられ、この本にも収められている。中江さんは平治を描いた映画『奇跡の山 さよなら、名犬平治』で飼い主を演じていた。昨年25年ぶりに平治像を訪ねたという中江さんは「ここに収められているのを見てものすごく興奮しました」と喜びをあらわしていた。

 また全国にはこんなにたくさんの犬の像があるんだと驚いたという中江さん。本に収められた犬像を訪ねて歩くという楽しみ方を提唱していた。

ひるまえほっと」はNHK総合で月曜から金曜11:05からの放送。「ブックレビュー」コーナーは月に1度放送される。

Book Bang編集部
2017年6月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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