「愛想を振りまく」は誤用? ビジネスパーソンは覚えておきたい「正しい言葉」10選

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会社で恥をかかないための言いまちがい正誤ブック

『会社で恥をかかないための言いまちがい正誤ブック』

著者
盛田 栄一 [著]/いのうえさきこ [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
語学/日本語
ISBN
9784040692616
発売日
2017/05/25
価格
1,320円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「愛想を振りまく」は誤用? ビジネスパーソンは覚えておきたい「正しい言葉」10選

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

何十年もの間、意味が間違っていることに気づかないまま言葉を誤用していた…。

あってほしくないことではありますが、それは決して珍しいことではないはず。また、「正しい意味や使い方を知りたいという思いはあるのだけれど、なんとなくそのままにしてしまっている」ということもあるでしょう。

「言葉は生きものなのだから、たとえ誤用でも多数派になれば問題ない」という意見もあるかもしれません。しかし、それはもとの正しい使い方を知ったうえで成り立つ考え方。少なくともビジネスパーソンにとって、「言葉知らず」が恥ずかしいことであるのは事実だといわざるを得ないでしょう。

そこで参考にしたいのが、『会社で恥をかかないための言いまちがい正誤ブック』(盛田栄一著、いのうえさきこ漫画、KADOKAWA)。書き間違い、言い間違いをしやすい日本語を正しく解説した書籍です。

きょうは「オフィス編」から、間違えてしまいやすい10種の正誤例を引き出してみましょう。

× 愛想を振りまく

○ 愛嬌を振りまく

「愛想」は、人に好印象を与える態度や対応のこと。一方の「愛嬌」は、かわいくて憎めない仕草や表情のこと。「対応」は振りまくことができませんが、笑顔(表情)であれば振りまくことが可能。したがって正解は「愛嬌を振りまく」になるわけです。ただし「愛想よく振る舞う」であれば、日本語として正解。(22ページより)

× 合いの手を打つ

○ 合いの手を入れる

「合いの手」とはもともと、邦楽で歌と歌の間に挿入される三味線などの演奏部分。そこから転じて、相手の話や動作の間に挿入する話や動作のことも「合いの手」というようになったのだといいます。つまり「合いの手」は、「打つ」ものではなく「入れる」もの。どうしても打ちたいという人は、「相づち」を打つといいそうです。(22ページより)

× 一同に会する

○ 一堂に会する

「一堂に会する」は、「大勢の人が一カ所に集まる」という意味の慣用句。「一同に会する」でもよさそうに思えますが、「一同=仲間全員」「一堂=一つの場所」なので、この場合は「一堂」が正解。なお、「社員一同が一堂に会する」といういいかたであれば問題はありません。(24ページより)

× 異和感

○ 違和感

「違和感」は、「どこかしっくりこない感じ」。もともと「違和(=体の調和が崩れること)という言葉があり、そこに感覚を表す「感」がついたわけです。そのため、正解は「違和感」。(26ページより)

× 上には上がいる

○ 上には上がある

「これが最上だと思っていても、それ以上のものが必ずある」。こういった内容を短い言葉で表現するとすれば、「上には上がある」が正解。この場合、「それ以上のもの」が必ずしも「人」とは限らないため、慣用句としては「いる」ではなく「ある」となるのだそうです。(27ページより)

× うる覚え

○ うろ覚え

「うろ」とは、樹木などにできた空洞のこと。そこから派生したと思われるのが「おろ覚え」で、「曖昧で不確かな記憶」という意味です。そもそも「うろ」が一般的ではないため、「うる覚え」「うり覚え」など間違えている人が多いと著者は指摘しています。(28ページより)

× しかめつらしい

○ しかつめらしい

「しかつめらしい」は、まじめくさって堅苦しい様子のことで、当て字は「鹿爪らしい」。日本語には「しかめっつら」という単語もあるため「しかめつらしい」と誤って記憶している人も多いのだとか。(36ページより)

× 他人事(たにんごと)

○ 他人事(ひとごと)

自分に直接関係のないことを「ひとごと」と言いますが、表記に関しては明治末期までは「人事」と書いていたのだといいます。ところがその後、芥川龍之介、菊池寛ら新進作家たちが、「他人事」と書いて「ひとごと」と読ませるという、文学的にひねった表現を多用。そのため大正時代以降は、「ひとごと=他人事」という表記が一般化していったのだといいます。(41ページより)

× とんでもございません

○ とんでもないことでございます

「申し訳ない→申し訳ございません」はOK。なぜなら「申し訳(名刺)」+「が(格助詞)」+「ない(けいようし)」のように分割できるから。ところが「とんでもない」は、これ一語で形容詞。そのため、「ぎこちない」を「ぎこちございません」といえないのと同じように、「とんでもございません」もNG。(43ページより)

× なおざりな謝罪

○ おざなりな謝罪

これも間違いやすい言葉ですが、「なおざり」は「必要なことをせず、いい加減に放置していること」。対する「おざなり」は、「その場しのぎの間に合わせ」のこと。そのため「おざなりな謝罪」といういいかたはできても、「なおざりな謝罪」では意味不明。逆に、「少子化対策がなおざりで」は○で、「少子化対策がおざなり」は×ということになるわけです。(43ページより)

マンガが多用されているため、とても読みやすいところが魅力。また、どこからでも気軽に拾い読みできるので、空いた時間にチェックすることも可能です。手の届くところに置いておけば、さまざまなシチュエーションで役立ってくれることでしょう。

メディアジーン lifehacker
2017年6月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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