茶殻を酢醤油でお浸しに? 淹れ方ひとつで高級茶に?『お茶の科学』最新情報が使える!

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緑茶、紅茶、中国茶、抹茶。あなたが一番好きな「茶」はどれでしょう。世界中で、「茶」は団らんをイメージさせ、リラックスさせるものとして長く愛されてきました。人間の文化のそばには、いつも「茶」が存在しているのです。

今日のおすすめは、『お茶の科学』。著者は食物科学者で、大妻女子大学名誉教授、お茶大学校長の大森正司氏。“いつもの安い煎茶を、高級な玉露のように変化させる淹(い)れ方”、選び方・飲み方・茶葉の食べ方(!!)までを指南してくれます。

もちろん、ネットでは探すことのできない、専門的かつ深い知識も満載。科学と銘打たれていますが、本人を目の前にお話を聞くような軽快な語り口で、サラッと読めるのも魅力的です。お茶博士の、愛と知識がたっぷり詰まった「今日から使える1冊」です。

お茶の違いはなぜ生まれるの?

本書に登場する膨大な茶の知識から、ひとつ3択問題を出題してみましょう。

【問題】ウーロン茶、紅茶、緑茶は、何の茶葉からできているでしょうか?

A. ウーロン茶の木、紅茶の木、緑茶の木からできている。
B. ウーロン茶と、紅茶の木は同じ木から。緑茶の木は日本にしかない。
C. すべての茶が、同じ木の種類から採られる茶の葉からできている。

正解は[C]。
すべての「お茶」は、同じ木の種類から採られる茶葉からできています。お茶はツバキの仲間で、学名は「カメリア・シネンシス」。ウーロン茶も、紅茶も、緑茶も、この木から作られています。違うのは製法のみ。製法によって、まったく風味の異なる茶に変化するのです。

なお、今から20年ほど前、雲南省の双江県(そうこうけん)で見つかった、樹齢3200年の「香竹菁(しゃんつーちん)大茶樹」が世界最古の木と考えられているとか。中国種のルーツ、マザーツリーと言ったところでしょうか。私達が口にしているお茶に“3200歳の母親”が存在しているとは、なんとも壮大な話です。

飲むだけではない、お茶の活用法

続いては健康面。注目したいのは、美味しいお茶を煎れたあとの「茶殻(ちゃがら)」活用です。二煎、三煎と抽出しても、茶殻に70~80%以上の栄養素が残るため、食べた方が良いのだとか。中にはβカロテン、ビタミンE、コエンザイムQ 、ミネラル類(マンガン、銅、亜鉛、セレン)と、男女問わず摂取したい栄養がたっぷり。

おすすめの食べ方はなんと、「酢醤油をかけた、茶殻のお浸し」。しかも、使えるのは、煎茶(一番茶)までだと言います。2番茶、3番茶は太陽を長く浴び、茶葉が硬くなっているため、お浸しには向かないそう。2番茶、3番茶は、「おかか、じゃこ、ごまと混ぜてふりかけに」するのが良いようです。ぜひ実践してみてくださいね。

他にも、
・製造方法や発酵について
・遺伝子研究にみるルーツ
・喫茶文化のはじまり
・静岡がお茶の名産地になった理由
・おいしいのは硬水or軟水?
・カテキン・カフェイン・テアニンとの関係は?
などなど、お茶に関する知識と情報が詰まっています。

筆者がおすすめしたいエピソードは、“お茶の香りや美味しさをソムリエのように言葉で伝えるために、どう表現すべきか?”。「水色・香気・滋味・茶殻」で善し悪しを見ていくのですが……ぜひ本書でご確認ください。

今は世界的な日本茶ブーム。このタイミングで知識を持っておけば、グローバルなコミュニケーションの場で、一目置かれる存在になるかもしれません。

お茶が100倍楽しく、美味しくなる『お茶の科学』。食知識のブラッシュアップに、トリビア吸収に、毎日の健康と美容に、オススメです。

文/弓月ひろみ

講談社
2017年6月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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