“やっぱり、歯みがきはNGだった”──世界では常識のケアをはじめるには?

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世界の常識は「歯みがき」ではない

──「歯のケア」という言葉を聞いて、「歯みがき」を思い浮かべたあなた。よかれと思って行っている毎日の歯みがき習慣が、実はあなたを寝たきり生活へ近づけているかもしれません。──

なんて強烈な!! 本書の冒頭の一節なのだが、それでは日本人の過半数が寝たきりに一直線ではないか。しかしこれが世界標準の口腔ケア常識らしい。

「歯のケア」と聞いて思い浮かべるべき正解は「デンタルフロス・歯間ブラシ」とのこと。歯みがきは主ではなく、あくまで従。

なぜ歯みがきじゃいけないの?という疑問を払拭したい方は、まず前作『歯はみがいてはいけない』を読んで、今までの日本のデンタルケア常識がどのように間違えていたのかを知っていただきたい。

食後の唾液の優れた機能を低下させるタイミングで、更に歯みがき剤に頼るという幼少期から叩き込まれた歯みがき習慣が、歯や歯茎にダメージを与えているという事実は衝撃だ。

本書は、日本人の歯みがき常識を一変させ大反響を呼んだ前作の、新・オーラルケア実践編。読者から問い合わせの多かった『では、具体的に口腔ケアはどうすれば良いの? グッズは何を使えばいいの?』に答える、待望の1冊である。

前作からの著者・森昭氏に加え、氏のパートナーかつ同じ歯科医院の歯科衛生士でもある森光恵氏を共著者に迎えている。2005年に日本初の歯科専門雑貨店を開き、これまでグッズを研究し、店長として0歳から高齢者のあらゆる患者さんに指導・提案してきたという経験と知識量には、期待せざるをえない。

デンタルケアグッズの正しい選び方

具体的なグッズの選び方・使い方については、目次を眺めるだけでわくわくする。「デンタルフロスのきほん」では「フロスのタイプ」「フロスの使い方」「子どものフロスケア」など10項目、「歯間ブラシのきほん」では「歯間ブラシの種類」など4項目。

私はフロスも歯間ブラシも、流血するわ、歯の隙間から抜けなくなるわ、やりたいのに毎回格闘の上失敗して戦意喪失……というのを繰り返してきた。この本でそれらの原因と解決法がわかったので、これからはどんどんメイングッズとして使ってみる。

「歯ブラシのきほん」では「毛先カットの仕方の違い」「ヘッドの大きさの選び方」「業界をざわつかせた山切りカット」「かための歯ブラシはNG」「おすすめ電動歯ブラシ」など19項目。

知りたい!と思っていたことがぎっちり詰まっている。ドラッグストアに行くとものすごい種類の歯ブラシが陳列されており、ヘッドの形、大きさ、かたさ、メーカーなど、あまりに多種の中から選ばなくてはならない。最終的には自分の気になる症状や得たい効果などによって合うものは十人十色になるが、最初の基本的な選び方くらいは絞りたい。

山切りカットをドヤ顔で勧めるテレビCMをたくさん見てきましたが、ダメだそうです! オールインワン(多機能)歯磨剤も顆粒入り歯磨剤もダメ! どの家庭にもありそうだが、それだけは絶対に買ってはいけないそうだ……。

個人的に電動歯ブラシがすごく気になってはいたものの、費用対効果が疑問で手にしたことがなかったが、本書を読んで近々買おうと決意した。

ではこれらの情報を聞ける人、教えてくれる人が今までいたか? と考えると、歯科医や歯科衛生士さんにぐいぐい質問すれば答えてくれたのかもしれないけれど、どこの歯医者さんもいつもお忙しそうで、悠長に質問できる雰囲気じゃないよなぁ……というのが本音。

「フロス」「あいうべ体操」「舌回し」の強力トリオでケアはバッチリ!

一億総下回し社会の、予感
一億総下回し社会の、予感

そして「マイナス1歳から100歳まで 年齢別口腔ケア」は、妊娠中かつ幼児育児中の私に、タイムリーというか、どストライクに響いた!

「妊娠期のケアの基本」にあった内容、
──妊娠39週で死産した胎児を調べたところ、胎児の血液、胃や肺から歯周病菌が発見されたという報告があります。NPO法人日本臨床歯周病学会は、妊婦が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産のリスクは(中略)7倍にのぼるともいわれ、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字です。──
これが怖い、怖すぎる。母子手帳に母親の産前産後の歯科健診結果の欄があり、私も健診とクリーニングを受けているが、そこまで高いリスクだとは知らなかった。

「乳児期・幼少期・少年期のケアのきほん」の「授乳姿勢に注意」「離乳食の与え方」「仕上げみがきはワンタクトブラシで」「食べるときの姿勢は大事」「少年期の食卓に飲み物は不要」なども今すぐ取り入れられる内容。

「実はお口に関係があるグッズ」に「抱っこ紐・枕・アロマ」という単語が出てきたのは驚いた。何の関係があるのか意味がわからず一瞬ポカーンとしたが、読んでみて目から鱗。気になる方、真相は読んでみてのお楽しみです。

さて、本書で口腔ケアグッズの情報通になった(つもりの)私は、早速紹介されているフロス・歯間ブラシ、「高額だけど素晴らしい歯科グッズ」「歯科衛生士のポーチの中身」に出ている具体的な製品を入手し、キシリトールガム、口にテープを貼って寝る、あいうべ体操を実践するぞ!

何より舌回し!! ネットで見かけて「ほうれい線を消し、小顔になる方法」として知ってはいたが、まさかここでもオススメされるとは。もはや、やらない理由がみつからない。

これから5年後10年後、小学校の教室の貼り紙も「食べたら歯みがき」ではなく「食べたらフロス、あいうべ体操、舌回し」に変わるのかと想像すると、なんだか胸が熱い。

文/野本紗紀恵

講談社
2017年6月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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