【話題の本】『定年後』楠木新著

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【話題の本】『定年後』楠木新著

[レビュアー] 三保谷浩輝

 ■著者の人柄がヒットの要因?

 多くの勤め人がいつかは迎える定年。その時に向けて、またそこからの生き方のヒントを示し、4月下旬の発売から2カ月で9刷、14万部のヒットになっている。

 著者は2年前、大手生命保険会社を60歳で定年退職したが、40代後半の休職をきっかけに10年余、仕事と並行し「働く意味」をテーマに取材、執筆活動も。自らの定年後体験を得て出版した本書では映画や本、歌、著名人や退職者らのエピソードもちりばめ、「定年後」の道に光をあてている。

 担当した中公新書編集部の並木光晴副部長は「定年後に漠然とした不安を抱える人が多いなか、著者は明るく、前向き。組織に頼らず自立を-というメッセージも込めています。ちょっと言い過ぎではと思うところもあるけど、励まされるのも確か」と話す。

 たとえば、〈人生の黄金期は60歳からの15年〉〈会社生活はリハーサル。定年後が本番だ〉〈いい顔で死ぬために〉などと宣言、その策も披露する。生まれ育った関西のノリか、「文章も楽しく、サービス精神が効いている」(並木副部長)と著者の人柄もヒットの要因だ。「10万部突破」の帯には著者の写真も登場。ぜひ、ご覧あれ。(中公新書・ 780円+税)

 三保谷浩輝

産経新聞
2017年7月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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