【話題の本】『美しい日本のくせ字』井原奈津子著

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

美しい日本のくせ字

『美しい日本のくせ字』

著者
井原 奈津子 [著]
出版社
パイインターナショナル
ジャンル
芸術・生活/芸術総記
ISBN
9784756248268
発売日
2017/05/22
価格
1,980円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【話題の本】『美しい日本のくせ字』井原奈津子著

[レビュアー] 永井優子

 ■味のある手書き文字が次々と登場

 有名タレントがテレビ番組のフリップに書いた文字、韓流スターやレディー・ガガの直筆メッセージ、はたまた道端で拾った(!)看護学生と思われる若い女性のメモまで-。味のある「くせ字」が次々と登場する。外国人によるカレー屋のメニュー看板の不思議さには、思わず笑ってしまった。

 著者は小学生のころから気になる手書き文字を保存してきたという「くせ字収集家」。自慢の逸品がカラー図版で目にも楽しくレイアウトされ、なぜその字にひかれるかが熱く語られる。文字愛が炸裂(さくれつ)した類を見ない書物だ。1970~80年代にはやった「丸文字」をはじめとする、「女子の字」40年史の考察も見応えがある。

 「あえて汚く書いてお洒落に見せる」「『読めるでしょ? 速いでしょ?』という得意気な顔が浮かぶ」など、文字から読み取る情報量がすごい。担当編集者の関田理恵さんによると「著者は、字を見て年齢や人となりを占うことができるほど。ぶっとんだ内容ですが、本人はいたってまじめです」。初版4500部だったが、発売後すぐに増刷が決まった。デザイン関係者以外にも、興味を持つ文字好きは多いと実感したという。(パイインターナショナル・1800円+税)

 永井優子

産経新聞
2017年7月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク