「母」ではなく一人の人間として「親」になる 作家の子育てエッセイに武内アナも共感

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 7月12日放送のNHK総合「ひるまえほっと」に女優で作家・書評家の中江有里さん(43)が出演し、月に1度の「ブックレビュー」コーナーで3冊の本を紹介した。

 この日中江さんが紹介したのは、以下の3冊。
『政略結婚』高殿円[著](KADOKAWA)
『母ではなくて、親になる』山崎ナオコーラ[著](河出書房新社)
『夏がきた』羽尻利門[著](あすなろ書房)

■「政略結婚」というと……

『政略結婚』は殿様や子爵、伯爵の娘など上流階級の女性の人生や歩みを描いた一冊。江戸末期から昭和まで激動の時代に翻弄されながらも、聡明さとしなやかさで生き抜いた3人の女性たちの物語だ。

 中江さんは「『政略結婚』というとイメージはよくないが、その制度が政治経済の下支えになっている時代があった。この物語の3人の女性はその制度の中でさまざまなものに縛られながらも、しっかりと自分の生きる道をみつけている。たくましい女性たちの物語。『政略結婚』というもののイメージが変わった」と解説。「現代も結婚制度に縛られている部分がどこかある。そこに通じあうものがある」と今日的な視点から見ても面白いと高く評価した。またエンボス加工された立体的で美しい表紙も賞賛していた。

■母ではなく一人の人間として

『母ではなくて、親になる』は作家の山崎ナオコーラさんが妊活から出産、育児までを率直に綴ったエッセイ。タイトルにあるとおり、「母」ではなく一人の人間として子供と対峙する「親」になると説く一冊だ。イラストはヨシタケシンスケさん。

 中江さんは「子どもにも親にも『らしさ』をおしつけない。そういうのがないのが読んでいて面白い」と感想を述べた。番組司会の武内陶子アナウンサーも「すごく素敵なタイトルだと思う!」と力強く同意した。また中江さんは「子育てエッセイとくくられそうだが、一人の人間として、出来事に対する心の変化など、すごく素直に書かれている。だからものすごく引き込まれる」と解説した。また「育児経験があるなしにかかわらず読んでいて面白い。私も引き込まれた。お母さん、母というイメージに私もいかに縛られてきたのかということにはっと気付かされるところがありました」と納得の表情でうなずいていた。

■どこのページを開いても夏!

『夏がきた』は徳島県阿南市在住の羽尻さんが、徳島の夏の懐かしい風物を描いた絵本。少年の夏の一日が描かれ、四国の豊かな自然が目にしみる一冊だ。

 四国出身の武内アナウンサーは「そこに私の夏がある!」と大絶賛。中江さんも「四国じゃないけど子供時代の夏を思い出しました」と共感をあらわした。そしてセミの鳴き声、風鈴の音、扇風機の音、麦茶の氷が溶ける音、夕立の音など夏にまつわる音が「鳴ってないけど聞こえてくるんですよ」と夏の空気感が伝わってくる一冊だと紹介した。また「こういう夏を過ごすことの大切さを見返した。羽尻さんは絵で語るということをすごく大切にしている。どこのページを開いても夏を感じさせてくれる。夏をひとつにまとめた一冊」と讃えた。

■縛られているものからの解放

 コーナー最後に中江さんは「『政略結婚』『母ではなくて、親になる』は私達が縛られているものから解き放ってくれる。縛られていることを自覚するってことも非常に大事だと思うんです。そこから自分はどうしたらいいのかなと考えるじゃないですか。縛られているってところで終わらないで、ぜひ解放してください」と2作に通底するテーマを解説した。すると武内アナウンサーは「なんか私泣きそうになっちゃった。この夏は解放です」と感傷的な一面をみせていた。

ひるまえほっと」はNHK総合で月曜から金曜11:05からの放送。「ブックレビュー」コーナーは月に1度放送される。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年7月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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