【手帖】藤原書店「叢書『アナール1929-2010』」が完結

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  • 叢書『アナール1929-2010』 : 歴史の対象と方法 1

    叢書『アナール1929-2010』 : 歴史の対象と方法 1
    Burguière, André  著/Le Roy Ladurie, Emmanuel  著/Valensi, Lucette  著/下村 武  著/中村 督  著/井上 櫻子  著/北垣 潔  著/塚島 真実  著/寺本 敬子  著/尾河 直哉  著/尾玉 剛士  著/山上 浩嗣  著/平澤 勝行  著/志村 幸紀  著/池田 祥英  著/浜名 優美  訳/渡名喜 庸哲  著/石川 学  著/竹本 研史  著/茨木 博史  著
    価格:7,344円(税込)

 フランスの歴史家、マルク・ブロックとリュシアン・フェーブルが雑誌「アナール」を創刊したのは1929年のこと。同誌は文献資料だけでなく、数値資料、人類学や地理学などの手法も取り入れて歴史を総体的に把握しようとする「アナール学派」の拠点として、時代を画する論文を数多く掲載してきた。

 同叢書は、20年前に藤原書店の藤原良雄社長が『気候の歴史』で知られるエマニュエル・ル=ロワ=ラデュリ氏(コレージュ・ド・フランス名誉教授)に直接持ちかけて始まった独自企画。同氏は、『風景と農民』の著者であるアンドレ・ビュルギエール氏(社会科学高等研究院教授)の協力を得て、創刊から2010年までを対象に、20世紀歴史学に衝撃を与えてきた重要論文71編を選び出した。2010年に第I巻(1929-1945)、今年6月に第V巻(1980-2010)が刊行され、無事に完結した。

 出版人としてアナール学派の重要性をもっとも早く認識し、出版の柱としてきた藤原社長は「長期間にわたる広い空間の変化や人間の心性の変化といったものは、従来の歴史学では捉えきれませんでした。アナール学派の手法と業績があればこそ、ピエール・ブルデューやエマニュエル・トッド、トマ・ピケティらの優れた研究が生まれたと思います」と話す。

 同叢書の監訳者である浜名優美氏(南山大学名誉教授)はフェルナン・ブローデルの大著『地中海』の単独完訳者。藤原社長によると、『地中海』をより読みやすい日本語にしようと、歴史学者ではない思想畑の浜名氏を起用したという。「歴史学の先生からは危惧の声があがりましたが、結果的に浜名さんはこの翻訳で1995年の日本翻訳文化賞を受賞されました」

 価格は全5巻セットで4万円+税。

産経新聞
2017年7月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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