【児童書】『せつない動物図鑑』ブルック・バーカー著、服部京子訳
[レビュアー] 藤井克郎
ほのぼのとしたイラストと意表を突く見出しで、112の生きものの“せつない”生態を解説する。いわく「ネズミにはほかのネズミの悲しみがうつる」「カバは好きな子におしっこをかける」「ヤギは正面を向いていても自分のおしりが見えている」…。
著者は、現在はオランダに住むイラストレーター兼コピーライターで、ウェブサイトで連載していたものを初の著書にまとめた。昨年に米国で出版されたが、すでに韓国や中国、フランス、ドイツと世界各地で翻訳されている。
今月19日に刊行した日本版は、翌週には増刷が決まるほど評判を呼んでいる。原書はどちらかといえば大人向けだが、子供にも親しめるようにと、すべての項目に大きさや生息地などの図鑑データを付記。イラストの一言吹き出しも、日本向けに書き換えた。
「かわいいとか、かっこいいだけでなく、生きものへの多様な目線を子供たちに身につけてもらえたら」と編集を担当したダイヤモンド社の金井弓子さんは話している。(ダイヤモンド社・1000円+税)
藤井克郎