受賞前から書評家たちは絶賛していた 第157回直木賞受賞作『月の満ち欠け』

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 8月8日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は『月の満ち欠け』が獲得した。
 第2位は『影裏』。第3位は『AX アックス』となった。

 1位と2位は第157回直木賞と芥川賞の受賞作だ。『月の満ち欠け』は発売以来書評サイトBookBangに多くの書評が寄せられ、直木賞発表前から注目されていた作品だ。文芸評論家の陣野俊史さんは東京新聞5月21日に寄せた書評で「佐藤の小説を読むと、いつも音楽を想起する」と佐藤さんの冴える筆致を音楽家になぞらえ讃えている。

 また盛岡大学教授の風丸良彦さんは「歳を食うと小説片手にこんな体験は稀になるが、貪り読んだ。村上春樹や池井戸潤でもこうはいかない。」と類まれなる佐藤さんの筆さばきを評している(週刊読書人 5月19日号)。BookBangにはこの他にも多くの書評家や書店員から好意的な評が集まっている。

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■陣野俊史さん(文芸評論家)レビュー
 荒唐無稽な話だとは思う。前世の記憶を持った人に会ったことのない、評者のような人間には、にわかに信じがたい話である。けれども…
https://www.bookbang.jp/review/article/531881
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■明文堂書店石川松任店(書店員)レビュー
シルエットにも似た謎多き《瑠璃》が、徐々に色を帯びていく様はミステリとしても魅力的な内容になっています。…
https://www.bookbang.jp/review/article/531589
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■風丸良彦さん(盛岡大学教授・アメリカ現代文学・文化専攻)レビュー
歳を食うと小説片手にこんな体験は稀になるが、貪り読んだ。村上春樹や池井戸潤でもこうはいかない。…
https://www.bookbang.jp/review/article/532591
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1位『月の満ち欠け』佐藤正午[著](岩波書店)

あたしは,月のように死んで,生まれ変わる――目の前にいる,この七歳の娘が,いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の,三十余年におよぶ人生,その過ぎし日々が交錯し,幾重にも織り込まれてゆく.この数奇なる愛の軌跡よ! 新たな代表作の誕生は,円熟の境に達した畢竟の書き下ろし.さまよえる魂の物語は戦慄と落涙,衝撃のラストへ.(岩波書店ウェブサイトより)

2位『影裏』沼田真佑[著](文藝春秋)

大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、「あの日」以後、触れることになるのだが……。樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。(文藝春秋ウェブサイトより)

3位『AX アックス』伊坂幸太郎[著](KADOKAWA)

最強の殺し屋は――恐妻家。物騒な奴がまた現れた! 新たなエンタメの可能性を切り開く、娯楽小説の最高峰! 「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。書き下ろし2篇を加えた計5篇。シリーズ初の連作集!(KADOKAWAウェブサイトより)

4位『弥栄の烏』阿部智里[著](文藝春秋)

5位『忍物語』西尾維新[著](講談社)

6位『とるとだす』畠中恵[著](新潮社)

7位『君の膵臓をたべたい』住野よる[著](双葉社)

8位『か「」く「」し「」ご「」と「』住野よる[著](新潮社)

9位『劇場』又吉直樹[著](新潮社)

10位『蜜蜂と遠雷』恩田陸[著](幻冬舎)

〈単行本 文芸書ランキング 8月8日トーハン調べ〉

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年8月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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