【手帖】これぞ市原悦子流、本音エッセー

ニュース

2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 女優の市原悦子さん(81)がエッセー「白髪(はくはつ)のうた」(春秋社・1600円+税、童話2話朗読CD付き)を出版した。ノンフィクションライター、沢部ひとみさんによるロングインタビューをもとに構成。幼少期から俳優座を経て今日までの女優人生を振り返っている。

 《「長いものには巻かれろ」「君子危うきに近寄らず」「くさいものには蓋をしろ」。この三つをよけると、私の好きな広い道ができます》

 その道で関わった舞台や映画、ドラマ、人、また、2度の流産を経ての「子どものいない人生」、平成26年に見送った夫で演出家、塩見哲(さとし)さんの最期、早くに亡くした兄や両親ら…それぞれへの思いを吐露。最近のテレビや役者、演出家らに《白けちゃうわね》などと嘆き、自身の失敗談では《罪深い女でございます》。夫を亡くした当初は《私も終わった、と思った》が、次々入る仕事の話に《何かじわじわじわじわ変わってくる》、そして《火がついてきちゃったの》と意欲を取り戻すまでの心情も。

 端的だが、力のある言葉が、まるで目の前で話しているように躍る。市原さんは自己免疫性脊髄炎のため昨年11月から入院中で、病床で沢部さんが読み上げる原稿を聞きながら、「そこはこういう言葉にして」などと推敲(すいこう)を重ね、完成させた。

 「素の市原さんは反骨の自由人。彼女の言葉は多くの人を勇気づけると思う」と沢部さん。市原さんも産経新聞に「これまでの自分を解き放って書きました。皆さんが共感してくださるとうれしい」との読者へのメッセージを寄せている。

 来年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」でナレーションの仕事も待っている市原さん。所属事務所の熊野勝弘社長によると、これまで人前では白髪を染めていたが、今後は「白髪のままでいく」。その決意が本の題名に込められている。(三保谷浩輝)

産経新聞
2017年8月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。