筋トレは「タンパク質」だけでなく「炭水化物」の摂り方も重要だった!

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なぜ私たちは体を自由に動かすことができるのでしょうか? それは骨と骨をつなぐ骨格筋の存在があるからです。脳からの指令によって筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことによって、立ち上がる、歩く、物を持つという複雑な動作が可能になるのです。筋トレの目的には、メリハリのある引き締まった肉体を造り上げることがまず上げられますが、骨格筋がパワーアップすることは健全な生活にも直結します。元気にはつらつと暮らすためには筋力の充実が欠かせないのです。では、どのようにトレーニングを行うと、効率よく筋肉がカラダにつくのでしょうか。サイエンス・アイ新書『正しい筋肉学』の著者であり、骨格筋評論家バズーカ岡田としてテレビでも活躍中の日本体育大学・岡田隆先生に伺いました。

筋肉を大きくするための基本

 ウエイトトレーニングをすると筋肉が大きくなるのはなぜだろう? まずは、そのメカニズムについて考えてみよう。

 筋肉に大きな負荷がかかるとこのままでは危ないと感じ、体は防衛しようとする。筋肉の出力はその断面積に比例することが分かっている。したがって、新しい環境に対応するために筋肉を大きくすると考えられている。

 実際にどのように筋肉が大きくなるかは、力学的アプローチ、化学的アプローチによる2つの解説が一般的だ。

・力学的な刺激による筋肥大
 筋肉トレーニングを行うと、筋線維に傷がつく。体はその傷を修復しようとして数種類の成長因子を分泌する。成長因子は筋線維の周囲にあるサテライト細胞に影響を及ぼし、サテライト細胞を増殖させる。増殖したサテライト細胞は筋線維に融合して、元の状態よりも太くなるというわけだ。
 つまり、筋肉痛や筋肉疲労は筋が肥大していくサインともいえる。トレーニングで疲れても、それが身となると考えるとモチベーションが上がる。
 なお、筋線維自体が太くなるときには、筋原繊維の数が増えていることも分かっている。筋線維は筋原繊維のたんぱく質でできている。したがって、たんぱく質の多い食事が有効である。

・化学的刺激による筋肥大
 筋肉を動かすエネルギーとして、筋肉に蓄えられているグリコーゲンがまず利用される。これを無酸素性エネルギー供給機構と呼ぶ。この過程において乳酸などの代謝物が筋肉に溜まっていくと、それがストレスとなり、成長ホルモンやテストステロンという男性ホルモンが分泌される。その結果、筋たんぱく合成が起こる事で筋線維が太くなり、筋肉が肥大していく。
 また、筋肉が力をふり絞ると、血流が制限され筋肉は低酸素状態におかれる。この危機的状況が刺激となって筋を大きくすることも分かっている。
 化学的刺激を考慮した場合、糖質の補充も大切であることが分かる。食事のメニューを考える際の参考にしたい。

力を出し切る「オールアウト」

 効果的なウエイトトレーニングを行うために知っておきたいのが「オールアウト」という理論だ。

 オールアウトとは、筋力を出し切ることをいう。上腕二頭筋のダンベル運動では、伸ばした腕がもう曲がらない、あるいは介添えが必要という限界点がくる。ここまで力を出し切ることがオールアウトだ。

 スポーツクラブで運動をしている一般のアスリートは、ダンベルやマシンを利用してもオールアウトしている人は少ない。自分で決めた重量を10回3セットというように決めて、ルーティンで行っていることが多い。実際に筋肉を大きくしようと思うなら、このやり方では不十分といえる。ちなみにプロボディビルの頂点を7度極めたアーノルド・シュワルツェネッガー氏は、痛みを感じてから、やっと数を数えるのだそうだ。

 オールアウト、すなわち力の限界がなぜ来るかというと、それは筋中のエネルギーが枯渇したり、筋肉に乳酸などの代謝物が溜まって疲労するからにほかならない。オールアウトは挙上を繰り返すことで筋肉が疲労困憊し、もう上げることができないとギブアップすることだ。

 言い換えれば、オールアウトは本人にしか知ることができないポイントであって、極めてストイックなトレーニング概念といえる。漫然と取り組んでいたのでは本当の意味でのオールアウトはあり得ない。筋トレは自分と向き合う行為といわれるが、その言葉の真髄こそオールアウトだ。

SBクリエイティブ
2017年9月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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