なにがあっても、だいじょうぶ! ほら、ルラルさんみたいにね。「ルラルさんのえほんシリーズ」を保育士たちが大推薦

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いとうひろしさんが描く絵本「ルラルさんのえほん」シリーズは、全部で8冊。長く続くシリーズで、たくさんの親子に読み継がれています。青縁の眼鏡をかけたルラルさんと動物たちの姿が描かれた表紙を、誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。

ルラルさんは、大きな“にわ”のある一軒家に住んでいます。一人で暮らしていますが、一人っきりではありません。にわには、たくさんの動物たちがいるからです。気難しそうに見えるのに、じつは優しくておもしろいルラルさんは、子どもたちの人気者。読み聞かせをすると、子どもたちは意外性のある物語に没頭し、会話を交わしたり、笑ったりしながら最後まで楽しむことができるのだと、多くの保育士が推薦しています。

ここでは、シリーズ第一弾「ルラルさんのにわ」と、最新作「ルラルさんのだいくしごと」を、子どもたちに読み聞かせた、保育士の声を紹介していきます。

■動物を追いはらうのはかわいそう! だけど、ルラルさんの気持ちも考えてみて

「ルラルさんのにわ」
今では動物たちでいっぱいのルラルさんのにわですが、最初は誰もいませんでした。それは、ルラルさんが、大切なにわに入ってくる動物たちを追いはらっていたからです。ところが、ある朝、そのにわに「まるた」が転がっていて…。じつは、まるたの正体はワニでした。最初は怖がっていたルラルさんですが、ワニからのある提案がきっかけで、動物たちをにわに招き入れることになります。

さて、このお話を聞いた子どもたちの反応は…?

●4〜5歳児に読み聞かせ
「ルラルさんが庭に入った動物をパチンコで追いはらうシーンでは『動物がかわいそう』『でも勝手に入ったらダメだよね』と、どちらの気持ちにもなって話していました。たくさんの種類の動物が出てくる場面に喜び、『仲良くなれてみんな良かったね』と嬉しそうでした」(28歳保育士)

●1〜3歳児に読み聞かせ
「ルラルさんが手を挙げる場面では、真似をして『ハーイ』と手を挙げていました」(25歳保育士)

●3歳児に読み聞かせ
「まるたがワニだったというシーンで『えー!!』と驚いていました。にわに動物が集まる場面では「ねこもいるよ!」「たまごは誰のたまごかな?」「庭のたまごかな?」とさまざまな声があがりました。『庭にひとりでいるより、たくさんいたほうがいいね』と気づける子どももいました」(25歳保育士)

●4歳児に読み聞かせ
「芝生の『ちくちく ちくちく』という場面で声色を変えて読むと、おもしろいようで声を出して笑っていました。4歳児は、ルラルさんがワニに食べられそう、と思ったのに、ワニが手招きをしたり寝転がったりと予想と違ったので、盛り上がっていました」(23歳保育士)

●1〜2歳児に読み聞かせ
「動物がたくさん出てくる場面は特に反応がよく、2歳児は言葉が出始めているので、『ワニ』『いぬ』などと声を出していました」(35歳保育士)

ルラルさんのにわ

にわに転がっていた「まるた」が、じつはワニ! しかも、見た目とは違ってのんびりしているので、子どもたちは驚いたようです。4歳や5歳の子どもたちは、ルラルさんと動物たちとの関わり合いに目を向けて、相手の気持ちを想像しています。にわの芝生の上に、ルラルさんとたくさんの動物たちが寝転んでいる場面は、どの年齢の子どもたちも大喜びでした。

■はしごが倒れてしまったのはどうして?

「ルラルさんのだいくしごと」
ルラルさんは大工さんではありませんが、大工仕事が得意です。いつもドアを直したり、椅子を作ったりしていて、今日の予定は雨漏りする屋根を修理すること。屋根にハシゴを立て掛けますが、いつのまにかハシゴが倒れてしまいました。困ったルラルさんがにわの仲間を呼ぶと、動物たちが姿を現します。ところが、ハシゴが汽車のようだと言い出し、ハシゴの中にすっぽりとはまって、「しゅっぱつ しんこう」と林のほうへ姿を消してしまいました。

このお話を聞いた子どもたちの反応はどうでしょうか?

●3〜5歳児に読み聞かせ
「『しゅっぱつ しんこう。』の場面で『エイエイオー!』と掛け声をする子がいました」(31歳保育士)

●1〜2歳児に読み聞かせ
「汽車ごっこの場面で一緒に『しゅっしゅっぽっぽっ』と声を出していました! 2歳児は遊ぶ前の導入として読んだところ、(電車)汽車ごっこがスムーズでした」(30歳保育士)

●3歳児に読み聞かせ
「はしごが倒れてしまった場面では、『誰が倒したのかな?』『風かな?』と、なぜ倒れてしまったのかを考えていました」(29歳保育士)

●2〜5歳児に読み聞かせ
「5歳児の反応がよく、『あれ? はしごを取ってってお願いしたのに〜!』と笑っていました」(22歳保育士)

ルラルさんのだいくしごと

●4〜5歳児に読み聞かせ
「動物たちが汽車ごっこで林へ行ってしまうと、『だめだよ』『なんで〜』と全員が笑顔になり盛り上がりました。4歳児は、『電車楽しそう』でも『ルラルさんかわいそう』と、どちら側の気持ちにもなって考えることを楽しんでいました」(28歳保育士)

●4〜5歳児に読み聞かせ
「ルラルさんが屋根の上から降りられなくなったらどうなるのか、興味を持って見ていました」(27歳保育士)

ルラルさんからお願いされたことを忘れて、汽車ごっこで遊んでしまう動物たちの姿には「おもしろい」という声の一方で、「ルラルさんがかわいそう」という声もあがり、さまざまな受け止め方があったことが分かります。「はしごはどうして倒れたのかな?」と、本に描かれていない部分を想像できる力を確かめることもできました。

そのほか、保育からの全体の感想として、「展開が読めず面白い。動物がたくさん出てきて子どもが親しみやすい。絵が優しく可愛らしいタッチでほっこりする」(25歳保育士)、「このシリーズは何度か読んだことがあるので、表紙を見て『ルラルさん!』と言う子もいるくらい、好かれています。2歳の子どもにはまだわからない部分もありますが、それでも楽しんでいました」(25歳保育士)という声が挙がりました。

動物たちはいつでも、いろんなことに興味津々。思ってもみない行動を起こすので、ルラルさんと意見が合わず、腹が立つこともあります。ところが、お互いに提案しあったり、譲り合ったりすることで、みんな、だんだん楽しい気持ちになっていきます。ルラルさんの日常は、動物たちが加わることで、もっと豊かになるのです。読めば読むほどに愛着を感じる「ルラルさん」シリーズ、他の絵本も紹介していきます。

■「ルラルさん」シリーズ

「ルラルさんのバイオリン」
ルラルさんがバイオリンの手入れをしているところに、「ひいてみてくださいな。」と声を掛ける猫。ルラルさんはしょうがなく弾き始めますが、そのおかげで、バイオリンを教えてくれたお父さんのことを思い出します。時には、誰かの意見を取り入れることで喜びが生まれることもあるのですね。ギコギコギーというおかしな音に、ラストは…にんまり!

「ルラルさんのごちそう」
土曜日だけはごちそうを作るルラルさん。でも、ひとりでは、誰もほめてくれません。ルラルさんは、にわのみんなにごちそうすることにしますが、料理が待ちきれないみんなは…。さっきまでは怒っていたルラルさんが、いつの間にか、動物たちと一緒になって無邪気な行動を取る様子に、子どもたちは大笑いするはず。

「ルラルさんのじてんしゃ」
天気のよい日曜日、自転車で出かけようとするルラルさんに、ねずみが「ぼくも うしろに のせていってください」と声をかけてきます。ルラルさんは快く引き受けますが、好奇心旺盛な動物たちがそれを黙って見ているはずはなく…。ゆっくりとした休日もいいけれど、時にはちょっとしたハプニングで大笑いするのもいいですね! そして、帰り道はというと…?

「ルラルさんのほんだな」
ルラルさんが本を読んでいると、猫がやってきて「ちょっとよんでみてくださいな」と言います。だけど、動物に本が読めるのでしょうか? 案の定、動物たちは、本はそっちのけで、本に出てきた、地下の世界に続く“あな”を見つけにいこうと言い出します。「あーあ、ほんのおもしろさが わからないんだ」と嘆くルラルさんですが、本当にそうなのでしょうか?

「ルラルさんのたんじょうび」
自分の誕生日にケーキを焼いたルラルさんは、にわの仲間を家に招待しました。誕生日とは、みんながお祝いしてくれる楽しい一日です。でも、誕生日って、よく考えたら、どういう日なのでしょうか? 動物たちにとっての誕生日とは? みんなで一緒に考えてみましょう。

「ルラルさんのぼうえんきょう」
星がきれいな夜、ルラルさんは動物たちと一緒に望遠鏡で空を眺めています。すると、なんと望遠鏡に宇宙人がうつっています。見たこともない顔をしていますが、何者なのでしょうか。宇宙人を探しに行くみんなは、正しいことをしているのでしょうか? ていねいに描かれる物語の展開と、意外なラストに注目を!

いとうひろし
1957年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。1987年、『みんながおしゃべりはじめるぞ』(童心社)でデビュー。以来、オリジナリティーの高いアイディアとユーモラスであたたかみのある作風で、絵本表現の可能性を追求し続けている。子どもから大人までファン層は幅広く、高い評価を受けている。おもな作品に、『ルラルさんのにわ』(絵本にっぽん賞受賞)にはじまる「ルラルさんのえほん」シリーズ、『くもくん』(絵本日本賞読者賞・以上ポプラ社)、『だいじょうぶ だいじょうぶ』(講談社出版文化賞絵本賞)「おさるのまいにち」シリーズ(路傍の石幼少年文学賞受賞・以上講談社)、「ごきげんなすてご」シリーズ、『ふたりでまいご』『マンホールからこんにちは』(以上徳間書店刊)など多数。

文・吉田有希

2017年10月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
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