『変節と愛国 外交官・牛場信彦の生涯』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『変節と愛国 外交官・牛場信彦の生涯』浅海保著
[レビュアー] 産経新聞社
戦前、日独伊の枢軸同盟路線を推進した外交官で、日本を破滅に導いた「枢軸派三羽ガラス」の一人とされた牛場信彦。戦後、一度は追われた外務省に復帰後、「親米派」の経済外交で活躍し、事務次官、駐米大使、対外経済担当相に上り詰めた。
そんな牛場のありようを「変節漢」と誹(そし)る声など、死後なおつきまとう毀誉褒貶(きよほうへん)の背景に数々の証言や文献から迫ったのが本書だ。
牛場は戦後、日本が「一流国」になることを願い続け、「気概ある外交」を貫いた。真の愛国とは何かを考えさせる一冊。戦後の外交トピックの舞台裏も興味深い。(文春新書・940円+税)