【話題の本】『ふたご』藤崎彩織著 ファン以外にも届いた文芸作品

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 ■ファン以外にも届いた文芸作品

 人気ミュージシャンの初小説とはいえ、10月末の刊行で翌週に重版決定、累計10万部は予想のはるか上を行く。「ファンは間違いなく喜んでくれたが、この反響はファン以外にも届いているということです」と編集を担当した文芸春秋の篠原一朗さんは指摘する。

 著者は4人組バンド「SEKAI NO OWARI」の紅一点メンバー。ピアノだけがよりどころの孤独な少女、夏子が、同じ中学に通う1つ年上の「ふたご」のような存在、月島に翻弄されながら、バンド活動という居場所を見つけるまでの成長物語を、研ぎ澄まされた言葉で紡いでいる。

 バンドのボーカル、Fukaseの勧めで書き始め、音楽活動と並行して5年を費やした。文芸春秋のウェブサイトには、「諦めないことの大切さを学んだ」「また明日も頑張ろうと思わせてもらった」といった10代女性からの声のほか、幅広い年齢層から数多くの感想が寄せられている。

 月島の人物像はFukaseと重なるが、「どこまで本当の話かというのは意味がない。バンドのことを知らなくても楽しめるし、文芸作品としての評価がないと10万部はいきません」と篠原さんは話している。(文芸春秋・1450円+税)

 藤井克郎

産経新聞
2017年11月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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