【話題の本】『大家さんと僕』矢部太郎作

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 ■不思議な“二人暮らし”描く

 お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎さん(40)が、「大家さん」と過ごす日々を、ほのぼのとしたタッチで描いた漫画だ。

 大家さんは都内の一軒家に住む80代後半の女性。8年前、その一軒家の2階に矢部さんが引っ越したところから物語が始まる。時には洗濯物を取り込んでくれるなど、親切な大家さんに当初は身構える矢部さんだが、次第に仲良くなっていき、ついには一緒に鹿児島・知覧に旅行するまでになる。

 本書で漫画家デビューを果たした矢部さん。新潮社の担当編集者、武政桃永(ももえ)さんによると、お笑い芸人が書いた小説やエッセーは又吉直樹さんの『火花』をはじめ前例があるものの、「漫画を描くケースはかなり珍しい」という。10月末に発売され、現在の発行部数は4刷5万部と好調だ。

 東京の川にも昔はホタルがいたこと、昭和8年の皇太子さま(現在の天皇陛下)ご誕生の際は2回サイレンが鳴り、街中が喜びに包まれたこと…。「実話を元にした作品なので、大家さんが時折ぽつりと語る一つ一つの話が心にしみます」(武政さん)

 矢部さんは、現在も“二人暮らし”を続けているという。(新潮社・1000円+税)

 本間英士

産経新聞
2017年11月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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