細部に至るまで本格愛が宿る

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

硝子の探偵と消えた白バイ

『硝子の探偵と消えた白バイ』

著者
小島 正樹 [著]
出版社
講談社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784062937351
発売日
2017/08/08
価格
770円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

細部に至るまで本格愛が宿る

[レビュアー] 図書新聞

 作家の深水黎一郎が本書解説でこう述べている。「本格ミステリーは、序盤に魅力的な謎が呈示されなければならない。それが約束事だ。そしてその謎は論理的に解かれなければならない」。小島正樹ほど、この定義に淫している作家はいない。一瞬にして白バイが消えるという絶対にあり得ないことが起きた。このあまりに「魅力的な謎」を入り口に、不可解な殺人事件が連続する。解明に乗り出すのは、自称天才探偵の朝倉と助手の小太郎。二人のキャラクター造型がとにかく素晴らしい。いわゆる「ホームズとワトソン」ものかと思いきや、「硝子の」という形容詞が予想外の威力を発揮する展開にびっくり。細部に至るまで、著者の並々ならぬ本格愛が宿る一作だ。続編『硝子の探偵と銀の密室』も要チェック!(8・9刊、三三八頁・本体七〇〇円・講談社文庫)

図書新聞
2017年10月28日号(3324号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク