上司が知らずに言っている「部下がやる気をなくす言葉」――試してみる価値のある「ペップトーク」

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3.してほしい変換(肯定形での言葉がけ)

「計算ミスをするな」と言われて自分の意思に反して電卓を叩き間違えたり、「大事なところで噛むなよ」という言葉がプレッシャーになって、舌が絡まってしまったりした経験は誰もが持っているのではないでしょうか。

人間の思考回路には「否定形に弱い」「最初に脳に入ってきた情報に左右される」という特徴があります。「それをするな!」と指示されるとついついやってしまいがちなのです。

したがって上司は、否定形で指示を出すことはやめた方が賢明です。出しそうになったら思いとどまって、「肯定形」に変換してから言葉をかけましょう。

×「計算ミスをするなよ」
○「落ち着いて計算して、最後は見直しをしよう」

×「言い間違えるな」
○「大事なところはひと呼吸おいてゆっくり話そう」

このように指示すれば、相手は具体的な行動をイメージできます。動機づけや指示・命令など大切な場面で使う言葉は、より相手の心に響くよう、ポジティブで肯定的な表現で、相手にしてほしいことをストレートに話すように心がけましょう。

4.背中のひと押し

部下に何らかの成果をあげてほしいときは、「背中をひと押し」するような言葉を添えます。「あなたの成長を願って応援しているよ」という気持ちを、ワンフレーズに託すのです。

その際は、相手の性格や状況に応じて「直情系」か「癒し系」を使い分けます。新商品のプレゼンテーションに向かう部下が、普段からある程度前向きな性格である場合は、

「君ならできる! ウリである耐久性の良さを徹底して訴求しろ!」

と直情的に熱く声援を送りましょう。反対に、自信のなさや大人しさが目立つ部下には、

「何かあったらフォローするぞ。これまでの君の頑張りは私が一番知っている。大丈夫だ」

と緊張を和らげる癒し系の表現を選ぶとよいでしょう。

 ***

さて、以上の4つのポイントをすべて使ったショートスピーチの例をあげましょう。ペップトークの見本です。

プレゼン会で競合他社が連勝している((1)事実の受け入れ)。話し方がうまいのではなく、顧客のニーズが把握できているからだ((2)とらえかた変換)。我が社も原点に返って顧客の声を真剣に聴こう((3)してほしい変換)。今度こそ、勝つぞ!((4)背中のひと押し)」

ペップトークやそれを支えるポジティブ思考に慣れてくれば、このようなスピーチが自然にできるようになるでしょう。しかしまずは、普段無意識に発している部下に対するワンフレーズを見直してみることからはじめてはいかがでしょうか。

日本実業出版社
2017年10月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

日本実業出版社

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