【手帖】「ドイツ的なもの」の原形…『第二帝国』刊行

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第二帝国、とは聞き慣れない人も多いかもしれないが、普仏戦争に勝利した1871年に成立し、第一次世界大戦での敗北に伴う革命で1918年に消滅したドイツ帝国のこと。神聖ローマ帝国をドイツ「第一帝国」と位置づけた場合の「第二」となる。来年で崩壊100周年を迎えるこの帝国について、文化面を中心に考察する『第二帝国』(上下巻、伸井太一編著)がパブリブから刊行された。各巻2300円+税。

 この帝国が存在した約半世紀の間に、ドイツの社会は大きく変容した。現在、「ドイツ的なもの」としてイメージされる少なからぬ部分はこの時代に形作られたものだ。本書は政治や軍事のほかにも技術、衣食住、余暇など、社会の各方面にわたり事物に着目した歴史を描き出す。

 たとえば今日の「ビール大国」の基盤が築かれたのも第二帝国期。穀物生産の飛躍的増大を背景に、蒸気機関を利用した醸造機や冷蔵装置の発明、ガラス瓶の導入などにより、それまでの自家醸造に代わって産業製品としてのビールが広く普及していく。ほか、学校の厳しい締め付けに反発したワンダーフォーゲル運動やユースホステルなどの青年文化と社会の軍事的組織化の関係、バイエルンのノイシュヴァンシュタイン城が戦後の米国覇権下でドイツの「顔」となっていった経緯など、後の「第三帝国」との連続性を考える上でも読ませるトピックが満載だ。

産経新聞
2017年12月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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