【手帖】谷口ジローさん未発表原稿、単行本に

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 「孤独のグルメ」などの作品で知られ、今年2月に69歳で亡くなった漫画家、谷口ジローさんの未発表作品が、「光年の森」、「いざなうもの」という2冊の単行本になった。いずれも闘病中に描いたもので、横長の全面カラーで物語を描いたり、ペンの代わりに薄墨を使用したりするなど、最後まで従来の漫画とは異なる“挑戦”を続けた谷口さんの姿が浮かび上がる。

 谷口さんは昭和22年、鳥取県出身。精密な描写が高く評価され、「孤独のグルメ」や「神々の山嶺」などの作画を担当。また、愛犬が死を迎える様子を情感こまやかに描いた「犬を飼う」など、読者の心に爪痕を残す作品も多く手がけた。海外での人気も高く、平成23年にはフランスの芸術文化勲章シュバリエが授与された。

 2作は今月8日、小学館から同時発売された。「光年の森」(2800円+税)は都会の少年が山村で不思議な体験をする物語。漫画は通常、縦長・モノクロで掲載されるのに対し、同作は横長・全面カラーを採用。緻密に描き込まれた森や、そこで暮らす動物の絵からは力強さを感じる。

 一方の「いざなうもの」(1111円+税)は短編集。作家、内田百●(ひゃっけん)の作品を原作にした短編では、薄墨やホワイト(修正液)を使って描いている。井上雄彦さんの「バガボンド」などをのぞき、墨と筆で描かれる商業漫画は限られている。谷口作品の著作権を管理するパピエの米沢伸弥代表理事は、「新しい表現をすることに最後までこだわり続けていた」と振り返る。

 「いざなうもの」の終盤10ページは下書き段階での掲載に。編集担当の今本統人さんは「完成には至らなかったが、谷口作品の魅力が伝わる一冊」と力を込めた。巻末には谷口さんが残した手記が掲載されている。

 「たったひとりでもいい 何度も、何度でも 本がボロボロになるまで読まれるマンガを描きたい。あきることなく何度も開いて絵を見てくれるマンガを描きたい。それが私のたったひとつの小さな望み」

(本間英士)

●=もんがまえのなかに月

産経新聞
2017年12月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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