【コミック 記者のおすすめ】『昭和天皇物語 1』半藤一利作、能條純一画
[レビュアー] 本間英士
■昭和天皇物語 1 半藤一利作、能條純一画(小学館・600円+税)
現人神から象徴に、大元帥から生物学者に-。昭和天皇の激動の生涯を漫画化した作品だ。今年、漫画雑誌で連載が始まり、10月に1巻が発売された。
物語は先の大戦後、連合国軍・マッカーサー最高司令官との会談から始まる。「私は全責任を負います」と語る昭和天皇に感銘を受けるマッカーサー。ここでストーリーは、昭和天皇の幼少時に巻き戻る。養育係の足立タカに、学習院院長の乃木希典、東宮御学問所の熱血老教師・杉浦重剛…。若き青年君主が誰から、どのような影響を受けたのかが精緻に描かれる。
原作は作家の半藤一利、作画は「月下の棋士」を手がけた能條純一が担当。読んでいて目頭が熱くなる、人間ドラマとしても秀逸な作品だ。「平成」の終わりが間近に控える中、さらに遠くなる「昭和時代」を振り返るきっかけにも。