【今週の労務書】『会社・社員・お客様 みんなを幸せにするM&A』
[レビュアー] 労働新聞社
成功のカギは「敬意」
本書は、売り手と買い手の双方に良好な結果をもたらした、中小企業のM&Aを紹介する。
「経営者にはそれぞれの人生があり、物語があり、思いや志がある」として、M&Aの成功には相手に対する敬意が欠かせないと説く。単なる事業内容だけでなく、地域への貢献など理念を共有することで、双方の従業員が同等に誇りをもって働くことにつながり、事業の発展に必要なシナジー効果をも生み出す。買い手には願ってもないことであり、後継者不在に悩んでいた売り手側の経営者も、良き後継「社」を得て安心してリタイアできる。
本書にあるのは殺伐としたものではなく、経営者、従業員、顧客に至るまですべての関係者に「温かい」M&Aの方法論である。