9回出撃し、9回生きて帰った特攻兵の生き様に学ぶ　“いのち”を消費する日本型組織に立ち向かうには

　1月23日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、新書第1位は『日本史の内幕　戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』が獲得した。
　第2位は『孤独のすすめ　人生後半の生き方』。第3位は『不死身の特攻兵　軍神はなぜ上官に反抗したか』となった。

　3位の『不死身の特攻兵　軍神はなぜ上官に反抗したか』は劇作家の鴻上尚史さんが元特攻兵の人生を描いたノンフィクション作品。鴻上さんは9回出撃して、9回生きて帰った特攻隊員・佐々木友次氏の存在を知り、何度もインタビューに出向いたという。当時の状況を聞き取りながら、特攻とはなんだったのか、その実態に迫っている。11月の発売ながら朝日新聞の書評で火がつき、12月以来のランクインとなった。1月21日の朝日新聞に登場した鴻上さんは、「つい僕らは、うかうかしていると、日本型組織を維持するために、構成員の命を消費する傾向があるんです」と語り、「特攻」という手段をとった日本軍の精神が、現代の日本社会にも通底する志向であることに警鐘を鳴らしている。

■新書　ノンフィクションランキング

1位『日本史の内幕　戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』磯田道史［著］（中央公論新社）

西郷隆盛の性格は、書状からみえる。豊臣秀頼の父親は本当に秀吉なのか。著者が原本を発見した龍馬の手紙の中身とは。司馬遼太郎と伝説の儒学者には奇縁があった――日本史にはたくさんの謎が潜んでいる。著者は全国各地で古文書を発見・解読し、真相へと分け入ってゆく。歴史の「本当の姿」は、古文書の中からしかみえてこない。小説や教科書ではわからない、日本史の面白さ、魅力がここにある！（中央公論新社ウェブサイトより）

2位『孤独のすすめ　人生後半の生き方』五木寛之［著］（中央公論新社）

元気な百歳老人、孫に囲まれる老後。本当にそれだけが幸せでしょうか？人生後半は十人十色。自分なりの豊かさを探す愉しみがあるはずです。人間は歳を重ね「成熟」し、「孤独」だからこそ豊かに生きられる。84歳の著者が体感し、実践する日々を豊かに楽しむ術。上手な人生の減速＝シフトダウンのための必読書（中央公論新社ウェブサイトより）

3位『不死身の特攻兵　軍神はなぜ上官に反抗したか』鴻上尚史［著］（講談社）

太平洋戦争の末期に実施された”特別攻撃隊”。戦死を前提とする攻撃によって、若者たちが命を落としていった。だが、陸軍第一回の特攻から計9回の出撃をし、9回生還した特攻兵がいた。その特攻兵、佐々木友次氏は、戦後の日本を生き抜き2016年2月に亡くなった。鴻上尚史氏が生前の佐々木氏本人へインタビュー。飛行機がただ好きだった男が、なぜ、軍では絶対である上官の命令に背き、命の尊厳を守りぬけたのか。我々も同じ状況になったとき、佐々木氏と同じことができるだろうか。戦後72年。実は本質的には日本社会は変わっていないのではないか。本当に特攻は志願だったのか、そして、なぜあんなにも賛美されたのか。命を消費する日本型組織から、一人の人間として抜け出す強さの源に迫る。（講談社ウェブサイトより）

4位『遺言。』養老孟司［著］（新潮社）

5位『日本人だけが知らない世界から尊敬される日本人』ケント・ギルバート［著］（SBクリエイティブ）

6位『未来の年表　人口減少日本でこれから起きること』河合雅司［著］（講談社）

7位『妻に捧げた1778話』眉村卓［著］（新潮社）

8位『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』磯田道史［著］（NHK出版）

9位『老人の取扱説明書』平松類［著］（SBクリエイティブ）

10位『百歳人生を生きるヒント』五木寛之［著］（日本経済新聞出版社）

■新書　ノベルスランキング

1位『十津川警部　出雲伝説と木次線』西村京太郎［著］（実業之日本社）

2位『天涯無限　アルスラーン戦記 (16)』田中芳樹［著］（光文社）

3位『第三次世界大戦（8） フィンテックの戦場』大石英司［著］（中央公論新社）

4位『皇帝とラブラブ子育て』加納邑［著］（リブレ）

5位『十二大戦対十二大戦』西尾維新［小説］中村光［画］（集英社）

6位『BORUTO －ボルト－ NARUTO　NEXT　GENERATIONS　NOVEL（5）』重信康［著］岸本斉史、池本幹雄、小太刀右京［原作］（集英社）

7位『ハイキュー!!　ショーセツバン!!（9）』古舘春一［原作］星希代子［著］（集英社）

8位『ONE PIECE novel　麦わらストーリーズ』大崎知仁［小説］尾田栄一郎［原作］（集英社）

9位『魔女の封印』大沢在昌［著］（光文社）

10位『十津川警部　北のロマン　青い森鉄道線 』西村京太郎［著］（徳間書店）

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