「諸学の基礎は哲学にあり」。東洋大学のこの建学の精神は創設者であり、明治時代に近代仏教復興の功労者として活躍した井上円了によって築かれた。西洋哲学との比較を通して仏教の価値を再発見し新たな力強い哲学や人生観を生み出すとともに、迷信の打破を目的に妖怪を研究し「妖怪博士」「お化け博士」とも呼ばれた井上の思想を、東洋大学学長の著者がひもとく。
西洋化に踊らされた日本を見つめ、本質を問うた「知と行動の巨人」は、日本の近代化に欠かせぬ存在だった。明治維新150年を迎えた今年、読んでみたい一冊だ。(春秋社・2600円+税)
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2018年1月28日 掲載
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